何個目かもわからないドアの先に探し人を見つけた。





君の傍だから






「アスラン! やっと見つけ…」

 トン、と地面を蹴ってアスランまで跳んでいくが、しかし呼びかけは途中で止まる。声をかけても意味がないと気づいたからだ。モビルスーツを収めている倉庫をガラス窓越しに一望できる休憩室。そのソファで、アスランは静かに眠っていた。

「…居眠りかよ」

 カガリが近寄っても身じろぎ1つしない。すうすうと規則正しい寝息が聞えるだけだ。ずいっと顔を覗き込むと、その寝顔はとても安らかとは言えない強張り様。

「疲れてるのかな…?」

 ふ、とカガリは自嘲的に哂う。
 疲れてるのかなんて、そんなこと。疲れてるに決まってる。
 あい続く戦闘で身体的に、という意味だけじゃない。正規でない方法で軍を離れ、父とも決別して――その心労がどれ程のものであるかなど、カガリには想像もつかない。

(居眠りなんて全然しなさそうな奴なのにな。…キラならともかく…)

 授業中とかでもぐーすか眠りこけてアスランに怒られるとかやってたんだろうなぁ、こいつら。
 何気にさらりと双子の弟(と彼女は決め付けている)に酷いことを考えて、カガリはアスランの隣に腰掛けた。
 勿論カガリも意味もなくアスランを探し回っていたのではない。キラがモビルスーツの整備のことで話したいことがあると言っていて、その時ちょうど手が空いていたので手伝いを申し出たのだが――

「ちょっとくらい遅れてもいいよな…?」

 そっとアスランの頭と腕に手を添えて、そのまま自分の肩にもたれかからせる。
 どんな夢を見ているのかは知らないけど、あんな歯を食いしばるような顔じゃ休むに休めないに決まっている。眠っている時くらいゆっくり休めっての。

「…ほんっと、不器用な奴だよな…」

 よしよしと子供をあやすように頭を撫でると、アスランの表情が少し緩んだ。
 それを見てカガリもまた、口元を緩ませたのだった。


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 アトガキ

 希望はなし。
 とりあえず希望が出た以外の話も書いておこう、と思ったので。
 原作時間だとアスランが父上と決別してからメンデルに行くまで、くらいかな。もうちょっと後でも大丈夫かな?
 あまりこういう話は書かないですよね、私。珍しいことをしたものだ。
 …あー、あまりにも普通の話すぎてコメントに困る(笑)