彼女の心には絶対に消えない痕がある。 初めての時の彼女は、かなり緊張してた。――てゆーか、もう石なんじゃねぇか、と言いたいくらいにガッチガチになってた。 恋人がいたことは最初から知っていたから、何でこんなに固まってんだよ、って言ったら、彼女――ミリアリアは、涙目で、睨んだ。 『悪かったわね…っ。トールとはキスだけで、何も…っ』 …口ではへぇ、そうなんだ、と適当に相槌を打ったけど。 内心では滅茶苦茶嬉しかった。 彼女の心には痕がある。絶対に消えない――忘れられない、死んだ恋人。 最初に好きになったのはソイツ。最初に恋人になったのもソイツ。最初にキスをしたのはソイツ。 でも――最初に抱いたのはソイツじゃなくて、俺だ。 馬鹿げてると自分でも呆れる。死人に嫉妬なんかしても何の意味もない。――それでも止まらない、対抗意識と、歪んだ優越感。 痕をつけた。彼女の体に幾つも幾つも――俺のものだという、赤い所有印を。 俺は彼女の最初にはなれない。どれだけ愛しても彼女の痕が消えることはない。だからせめて―― 最初に触れた証を。 トルミリは清らかな関係希望。 <ディアッカならいいのか? |