ガラス窓
「フレイ、笑ったんだ」 「…いつ?」 「避難艇の中で。あのMSに落とされる直前、一回は庇えた時に目が合ったんだ。その時に」 「…そっか。 どんな風に笑ってたんだ?」 「凄く嬉しそうだった。泣きだから、だったけど…今までで一番綺麗な笑顔だった」 「嬉し涙だったんだよ、それ」 「そうかな。 …そうなら、嬉しいけど」 「そうさ。だってやっと会えたんだろ? 嬉しくなかったはずがないさ」 「…うん。でも、僕はフレイを傷付けてばっかりだったから。…会えても嬉しくなかったんじゃないかなぁ」 「…後ろ向き過ぎるぞ、お前。そんな訳ないだろ。会いたくなかった奴に会って笑う奴なんかいるもんか」 「…でもね、カガリ。あの笑顔を思い出すたびに思うんだよ。どうして護れなかったんだろうって」 「…キラ」 「戦って戦って、何人も殺して…それでも僕が戦い続けた理由だったのに」 「…僕は、あのガラス越しに見えた笑顔こそ護りたかったのにね」 人を護りたいと思うようになったきっかけはあの小さな女の子、 二度と傷つけないように護りたいと思ったのはフレイ。 キラにとってそういう存在なのではないでしょうか。 |