政宗×女体化幸村です。
えろくは無いですが、女体化苦手な方もいるでしょうから、隠しで。
幸村は頬を押さえて飛び下がった。顔どころか全身が太陽よりも真っ赤で、あわあわと口を出る言葉は意味を成さない。
余りにも予想通りすぎる反応、政宗は自然とこぼれる笑みを堪えきれずに口元を抑える。まるで揶揄されているような反応に一層幸村の羞恥は増した。
「はははは破廉恥でござる! めっめおとでもない者がこのような…!」
「Ah,ha? 夫婦ならいいんだな?」
「はっ!?」
頬を押さえていない方の右手が掬い取られる。あまりに自然な動きだったので幸村の反応は遅れてしまった。
とても鍛えられた、それでいて女性らしい柔らかさを持つ手が、政宗の手に添えられていた。女性にしては骨太、無骨とまで言われる幸村の手だが、それでもこのように政宗の手と並べると、明らかに女性の手と分かる。幸村の手は柔らかく、政宗の手は硬い。幸村の手は小さく、政宗の手は大きい。
幸村は間違いなく今自分に触れているのは「男性の手」なのだと意識した。意識してしまったら、動けなくなった。
政宗の顔が徐々に下りてきていると気付いていたのに、手の甲に口付けを落とされても。
「Will you marry me, my darling?」
西洋の騎士が姫君に接するように、恭しく丁寧に落とされたキス。つい先ほど頬に口付けられたことも忘れた。今まで一度も見たことのない表情――まるで幸村に請うように、政宗は見上げている。
政宗が口にした言葉は異国のもの、当然幸村には理解できない。意味は理解出来ないが、その手に口付けられたという事実、そして注がれる熱い視線に、自分は途轍もないことを言われたのではないか、と察せざるをえなかった。
意味を問うことは怖ろしい、だがこのまま流せる訳もない。完全に混乱しきった頭はまともに動いてくれない。
真っ赤と真っ青を繰り返す幸村の顔色。政宗の喉がくつりと鳴った。
「Ha, 通じねぇか。まあいい、正式に使者を立てて申し込んでやるよ。この俺からのproposalだ、まさか断るなんて野暮は言わねぇな?」
「ぷ、ぷろ…?」
ぷろぽおずとやらが一体何のことなのか、やはり幸村は解からない。
正式な使者と言うからには何らかの申し出がされたのだろう。実際に使者とやらに伝えてもらわねば何のことなのかさっぱり解からないが、幸村は自分が断ることは無いだろう、とほぼ確信していた。
この伊達政宗が、自分を見て触れて、幸村の体も心も熱くする。その仕草、視線は破廉恥で恥ずかしくて堪らないのに、同時にどこか締め付けられるような多幸感を与えられているのも否定出来ない。
その政宗からこんなに切なく請われてしまっては、まさか自分が拒めるとは思えないのだ。
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政宗×女体化幸村は笹さんに開眼させて貰いました。
「幸村が女なら、政宗さまは物凄く気障に激しく幸村を口説いてくれるよ!」
…この一言で落ちました。ええ落ちましたとも!
という訳で1つ書いてみましたよっと。
一応補足。
「darling」って日本では恋人(女)が恋人(男)に対して使う言葉ですが(「愛してるよマイハニー」「愛してるわマイダーリン」って感じで)、正しくは性別関係なしに恋人へ呼びかける言葉です。
ので、政宗さま(男)が幸村(女)に呼びかけてもおかしくはないのですよ。