ぱっつぁんとチャイナが幼児化して銀さんがお父さん状態になっているという謎設定。
男には耐えねばならない時がある。
…って言うけどさぁ。今はその「耐えねばならない」時じゃないよね? もうギブアップしてもいいよね? さすがの銀さんももう無理です勘弁してください。
「まってよかぐらちゃん」
「またないアル。もーちょっとアルー」
待つ待たないじゃないですよお前ら。はいそこ、髪の毛引っ張らない。はいそっち、足首に全体重掛けない。
あのね、銀さんも大人の男ですからね。幼児2人を抱えるのなんて簡単ですよ。簡単ですけどね。さすがに関節に全体重を掛けられたら痛いし、髪の毛を引っ張られると痛いんですよ。人体には鍛えようのない場所ってのがありまして、お前らがダメージを与えているのはモロにそこな訳ですよ。
ていうか何でお前ら2人して俺を登ろうとしてるの。先に銀さんの頭の上まで到達出来たら勝ちって何それ。登られてる俺の意思は丸無視? 痛いんですけど。重いんですけど。
それと登りかけで落ちるのもやめて下さい。床に激突する前にキャッチするの大変なんです。とっさに抱えるのって結構難しいんですよ?
「やったネ。とーちょーアルー」
…とか何とか心の中で愚痴ってる間にチャイナの方が頭のてっぺんまで登りきった模様。勝利に酔いしれてます。っだだだだ、だから髪の毛引っ張るなっての!
「まってかぐらちゃんー」
俺の足首を痛めつけていたメガネは現在太もも上に乗っております。うん太ももの方がまだマシだけど、もうちょっと体重を掛ける場所を考えて欲しいなー俺の股関節が悲鳴を上げてるなー。
「あーはいはい登頂おめでとー。それじゃあもう銀さん動いていい? テレビつけたいんだけど。穴野アナのお天気ニュース見なきゃだから」
「だめアル。うごかざることやまのごとしネ」
「ぼくまだのぼってないからだめです」
わーかぐらちゃんってばむずかしいことばをしってるねー。
…。
完全に傍観者をしてるぱっつぁんの姉貴は「そうしてると本当にお父さんみたいねぇ」とか他人事丸出しで呟いてやがるし。すいません本当に勘弁して下さい。
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某姐御がものすごい幼児絵描いたから…
あたしの店はラーメン屋にしては遅い時間まで営業している。夜の街歌舞伎町に近い立地にあるから、軽く一杯やった後にラーメン食って帰ろうと言う客が少なからずいるからだ。客足が途絶えるのは大体23時過ぎ。この時間を過ぎてもまだ歌舞伎町にいる人間はもう翌朝を迎えるまで帰らない。
この夜も22時を過ぎた頃から客が少なくなっていた。いつも通りのことで、そろそろ店を閉めようか、という時間になった時、からり、と馴染みの客がやって来た。
「邪魔をする。まだ開いているな?」
「もう閉めようと思った時だよ。まったくアンタはいつも嫌なタイミングで来るね」
最初に拾った時は1人だったのだけど、次に来た時からは得体の知れない何かと一緒に来るようになった。今夜はこれが最後の客だね、と、先に暖簾を片付ける。その間に客はいつもの席についていた。
「そばを1つ頼む」
「またかい? ラーメン屋に来ていつも食べるのがそばっておかしいだろアンタ。エリザベスを見習いなよ」
子供が書いた幽霊のような姿をしたこの同行者はプラカードに「みそラーメン一丁」と書いて意思表示をしていた。いつものことだけど一体いつプラカードに文字を書いてるのか全然見えない。気が付いたら新しいのが書かれてる。まったく得体が知れない生物だけど、とりあえず毎回ラーメンを頼んでくるから許してやることにしている。
「エリザベス、ここがラーメン屋だからと言って気を遣うことはない。食べたいものを食べていいのだぞ」
「ケンカ売ってるなら高く買ってやるよ」
先にみそラーメンを作って出してやった。エリザベスはどんぶりごと口に放り込んで、しばらくもしゃもしゃって変な音がした後に空になったどんぶりが返却される。…ほんと、どうやって食べてるんだろうね、これ。
あたしの本職はラーメン屋だけど、それでも店に出す以上はいいそばを出すって決めてる。今日も固すぎずのびすぎずのいい塩梅できちんと茹でた。しばらくの間そばをすする音だけがしていて、あたしはその間に明日の仕込を始めさせてもらった。
「…馳走になった。うむ、以前よりも美味くなっているな」
「そりゃどうも。たまにはラーメンの方を食べて欲しいものだけどね」
「仕方あるまい。俺の好物はそばだ」
「だからここはラーメン屋だっつってんでしょうが」
初対面からずっとこうなんだもの。失礼極まりないね、ホント。
食べ終わったからにはさっさと器を下げさせてもらう。最初にそばを出した時はあーだこーだと文句を付けられたものだけど、最近はやっと美味いって言わせられるようになった。当然だわね、それだけの修行は積んでるもの。
「勘定置いておくぞ」
「はいよ」
食べ終わった後は茶で一服。それだけでこの客は帰っていく。毎度毎度大した世間話をするわけでもない。だけど毎度毎度、帰り際に一言。
「…また来る」
その言葉と次回の訪問が楽しみになってるって自覚するまで、そんなに時間はかからなかった。
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アニメで幾松さんの回を見たので記念に。
桂×幾松もいいね! おいしいね!
指先足先の動きが鈍い。息を吸うたびに鼻の奥が痛い。露出した部分に鳥肌が立っている。乾燥した唇が今にも切れそうだ。顔の筋肉が引きつってる。少しでも熱を発生させようと体が小刻みに震えてる。
つまり集約すると、寒いの一言に尽きる。
「寒いアル」
「寒いですね」
「寒い寒い言うなお前ら、新党滅却すれば火もまた凉しだ。ほら窓の外を見ろ新八、神楽。今日も元気に怪しい政治団体が怪しい演説してるぞ」
「怪しい政治団体の怪しい演説と僕たちが寒いのと何の関係があるんですか。しかも今「新党」って言いましたよね。新しい党でしたよね。新しい党を滅却してどうして火が涼しくなるんです」
「新しい党なんて血気盛んでウザいだけネ、滅却した方が世の為人の為ヨ」
「その通りだ神楽。よし、滅却しに行こう」
「そうアルな。ちょっとは体が温まるかもしれないネ」
「待たんかお前らァァァ! 要するにアレか、俺たちは暖房器具のない寒い部屋の中で震えてるのに何で外では怪しい政治団体があんなに元気に走り回ってるんだって理不尽にムカついただけかオイィィィ!!」
「新八、世の中何でもかんでも正直に言葉にしたらいいってもんじゃないんだぞ」
「そうヨ、外面は優しく、心は般若。これが上手く世の中を渡るコツね」
「あんたら外面が成功したためしがないだろうが! いつも心が般若になったら速攻で般若になって殴りこみに行ってるだろうがよ!」
「あーもー新八、お前って本当にアレだな。小姑の素質たっぷりだな」
「将来志村家に嫁ぐ嫁さんは大変ネ。『あらやだ嫁子さん、こんなに埃が。ちゃんと掃除してるの?』」
「『いやだ、何この味。志村家伝来の味噌汁はこんな味じゃないわ。嫁子さんってばいつまでたってもこんな簡単な料理も覚えられないんだから』」
「何で僕が小姑にならないといけないんですか! 志村家に嫁いでくるってことは僕のお嫁さんでしょ!? 僕の将来の妻でしょ!?」
「新八にお嫁さんが来るよりお妙に嫁が来る方が早いんじゃね?」
「ありうるね。姐御下手な男より漢前よ」
「ありえないから! 姉上にお嫁さんが来るなんてありえないから! 姉上は嫁ぐ方なの!」
「お妙が嫁ぐなんてことになったら凄いんだろーなー。重箱の隅を顕微鏡で観察するレベルで相手の男の粗探しまくるんだぜ、きっと」
「ちょっとでもヘマしたらアレよ、『あらやだお義兄さん、こんなに埃が。ちゃんと掃除してるの?』」
「小姑の時と同じこと言ってんじゃねぇお前らァァァ!! いい加減黙らねぇと外に放りだすぞコルァァァ!!!」
「よし、神楽。新八が騒ぎまくったおかげでちょっとは室内温度が上がったような気がするぞ」
「本当ネ。家事とツッコミとアイドルオタクしか能のないメガネもたまには役に立って良かったヨ」
「家事とツッコミとアイドルオタクしか能のないメガネって何!? 僕が家事しないとすぐ腐海の森にするだらけ虫2匹の分際で何様!?」
「あーもう黙っていいぞ新八ー。これ以上騒がれると今度はお前を滅却したくなりそうだ」
「いつの間にか外の新党いなくなってるネ。ちっ」
「ちって何! 今度は僕って何なの!? 本当に滅却するつもりなのかよあんたら酷すぎだよ!」
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オチなし。
つーかオチが作れない。
タイトルは「銀魂風のタイトルを作ろうとして失敗しました」といういい見本。