小話帳

HOME Image TitleList Calendar

 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  陽子と景麒
2005/11/27 ◆ 十二国記
「字って欲しいか?」
「…は? 主上、何を唐突に仰るのですか」
「いや、前に氾台輔がお前に字を尋ねただろう? そう言えば景麒には字がなかったな、と」
「下さるのでしたら…勿論、有難く頂戴いたしますが」
「なら考えようかな。…でも私はまだこちらの名前の良し悪しがよく分からないからなぁ。変な名前は嫌だし。…そう言えば、景麒は延台輔の字を知っているか?」
「延台輔ですか? 確か六太と仰ったのでは」
「私もそう思っていたんだけど、それは蓬莱での名前で字じゃないんだ。延王が名付けた字は、何と『馬鹿』と言うそうだぞ」
「…馬鹿…? それは…一体、どういう理由で…」
「馬と鹿の間のような生物だから、だそうだけど。それを言うなら麒麟は全員が馬鹿ということになってしまうよな。景麒も馬鹿と呼ぼうか?」
「主上…!」
「冗談だって。延王だって冗談で名付けたんだろう。何せ、側近の字を『無謀』とか『猪突』とか名付ける方だからな」
「延王は偉大な方ですが、同時にかなり無茶をなさる方でもいらっしゃいます。そのような点では決して感化されませんようお願い申し上げる」
「分かってるよ。まあ、字は気長に待ってくれ。ゆっくり考えるから」
「はい。楽しみにしております」
「…でも字を名付けても、多分私はお前を景麒と呼ぶような気がするな」
「何を無理に字で呼ぶことは御座いません。主上が呼びやすいようになさって下さい」
「うん。…私にはもう景麒がお前の名前のようなものだから。だから、ずっと景麒と呼ぶと思う。多分、一生…」


   =============

 陽子が景麒の字を名付けないのは「景麒」が名前みたいなものだと思っているからだと思いますよ。そもそも陽子は現代日本の出身で、本名と字が別という慣習に慣れてませんから。最初に「景麒」と名乗られたから、もう景麒は「景麒」だと思い込んじゃってる、と。
 私も今更景麒が字で呼ばれるようになっても困るしなぁ(笑)

 基本的にカップリングで小話を書く時にはタイトルを「男キャラと女キャラ」としてるんですが、陽子と景麒の場合はどーしても陽子を先に出してしまうわ(笑)
 景麒×陽子っつーよりも陽子×景麒ですよね。主従関係万歳!

  クレアとシャーネ(バッカーノ!)
2005/11/19 ◆ その他・小説
 父によって生まれ、父の為に生き、父の為に死んでいく筈だった彼女にとって、それは至極当然のことだった。
 だから彼女は声を失くしたことを後悔したことなど一度もなかった。
 彼と出会うまでは。



「シャーネに似合うと思って」

 そう言って、クレアは巨大な花束を差し出した。大人でも抱えるのに一苦労な大きさだが彼がそれを運ぶのに苦慮した様子は全く見られない。おそらくは苦慮など全くしなかったのだろう。彼はそういう人物だ。
 シャーネが受け取るには少し大きすぎるが、シャーネはしっかりとその花束を抱き締めた。こんな大きさの花束を用意するのは大変だったのではないだろうか。

「いやぁそんなことないって。何たって愛するシャーネの為だからなぁ」

 人目があっても全く臆面もなしにそんな風に言われることにシャーネはまだ慣れない。シャーネの頬が赤くなる。ただしそれは本当に些少な変化で、彼以外気付くことの出来る人間はいない。

「うん、やっぱり似合うな。俺の目は確かだ」

 こくんとシャーネは小さく首肯する。この花束が自分に似合うかどうか彼女にはよく分からないが、クレアの目が確かなのは間違いない。花束は様々な種類の美しい花々がバランスよく飾られていて芳しい香りがシャーネ達を包み込む。

「え? あはははは嫌だなぁシャーネ、そんな人前で恥ずかしいじゃないか」

 自分はどんなに恥ずかしいことだって臆面なく言ってのけるのに、とシャーネは少し不思議に思う。何しろシャーネは一言も喋っていないのだ。他人にも聞かれてしまうクレアの言葉とは違ってシャーネの思いはクレア以外には絶対に伝わることがないのだから構わないのでは、と思う。

「そうだけど、やっぱり恥ずかしいだろう? シャーネがそう言ってくれるのはそりゃ嬉しいけどな」

 シャーネもクレアに愛していると言われるのは恥ずかしいが、それ以上に嬉しくて幸せで仕方がない。

 だから、時々思うのだ。
 クレアが何度も何度も伝えてくれるように、シャーネもシャーネの言葉で「愛している」と伝えられたら、と。


    ==============

 「バッカーノ!」シリーズでラブラブカップル賞優勝をアイザック&ミリアと接戦で競い合いそうな超素敵カップル・クレア×シャーネ。「バッカーノ!」シリーズでは群を抜いてダントツ1位で大好きなカップリングです。

 「1931」でクレアとシャーネに惚れた私は、「1932」から「1933」の間の2人が気になって仕方がないのです…っ!
 一体どんな風に再会して何があってあんな風にらぶらぶになったんですかぁあああ!!
 書いてくれ成田良悟氏ぃぃぃぃぃ!!(切望)

  陽子と祥瓊
2005/11/15 ◆ 十二国記
「可哀想な人なのかもな」
「可哀想…?」
「麒麟の啓示を受けたと言えば聞こえはいいけど、言ってしまえば強制的になりたくもない王にさせられたってことだろう?」
「それは…そうかもしれないけど。それでも啓示を受け入れたのでしょう? それならその責任は果たすべきだわ。…王なんだから」
「うん。その通りなんだけど…。官吏に相手にしてもらえない辛さは分かるから。…本心から彼女を心配して協力してくれるのは景麒だけだったんだ。景麒に頼って、…依存して…、…想うようになってしまったのも、仕方ない気がする」
「…貴女も景台輔に頼っていたの、陽子?」
「頼っていたと…思うよ。実際、景麒がいないと書類の一枚も読めなかったしさ。今だって沢山頼ってる」
「貴女は台輔に頼ってなんかないわよ。貴女と台輔は協力し合ってるって言うの」
「そうかな。…いつまで経っても自信なんか持てないんだ。私も予王のようにならないっていう保証なんて、どこにもない…」
「予王には台輔しかいなかったからよ。他の信頼できる臣を自分で見つけることが出来なかった、予王の責よ。貴女はちがうでしょう、陽子? 貴女は私達を信頼してくれていないの?」
「まさか。信じてるよ。物凄く頼ってる」
「それならいいの。もし本当に台輔を好きになっちゃったら、1番に報告しなさいよ。台輔を好きでも国を乱さない方法を一緒に考えるから」
「…え? 相談って…それでいいのか?」
「いいのよ。誰が誰を好きになるなんて、天にだって止められることじゃないでしょ。それなら王と恋愛を両立すればいいのよ。もし陽子が台輔を好きになっても国が治まっていれば誰も文句なんて言わないわ」
「でも、それは…。駄目だろう、祥瓊。それは」
「いいのよ。…陽子にはいい王になって欲しいって思うけど、だからって陽子個人の幸せを犠牲にしていいなんてこと、絶対にないんだから」
「…やっぱり予王は可哀想な人だな」
「は? …どうしてそこでまた予王の話に戻るのよ」
「だってさ。…予王にはそう言ってくれる人もいなかったんだってことだろう?」


 一緒に考えてくれる人がいなかったってことだろう?



    ================

 「陽子と予王」と書いた方が良かったでしょうか。…まぁいいか。

 自分で言わせておいて何ですが、祥瓊が「…王なんだから」と言うのは重いですね。
 予王は景麒に依存していたのだと思います。…「麒麟」としてではなく「男」として求められた景麒は、自分のアイデンティティを否定されたようなものだったでしょう。
 それでも最期は景麒を生かした、その点だけは評価されるべきでしょう。たとえそれが自分の恋情の為で、国の為でなくとも。
◆ Fokarqth(2013/04/19 06:26)
衛星"ヤマル- 402は"計算された軌道上では表示されませんでした _ttp://www.interfax.ru/news.asp?id=280005.
アイデアはすべてシンプルで論理的なすべき我々の政府にある - 黒い金と閉じるためのガス事業のすべてを売却し、スタッフがカットオフとスイスへの初飛行によってフラッシュ。

  結婚についての考察・王と麒麟編
2005/11/10 ◆ 十二国記
 「全生物編」の続きみたいなものです。
 つまり性的な考察であり、またもや直接的な単語がバカスカ出てきます。年齢制限は特に設けませんが苦手な方は回れ右して下さい。

 それでも良いと仰る方はどうぞ。


 麒麟ってセックスが出来るんでしょうか?

 初っ端からすみません。しかし私の言いたいことは正にこの一言に尽きるのです。
 私達の世界の常識で考えるならば、麒麟は自分の子供を残さないからセックスしなくていい、する必要がない、だから出来ない、ということになるでしょう。ですが「全生物編」で語ったようにあの世界のセックスは繁殖とは無関係です。無関係である以上は子孫を残さない存在の麒麟もだってセックスが出来てもおかしくないと言えるでしょう。

 生殖器の有無も気になりますね。あるのか、ないのか。出来るなら絶対にあるし、出来なくても形だけはあるかもしれません。
 麒麟の生殖器の有無を確かめられないのが残念です。
(無茶言うな…)

 景麒×陽子をプッシュしてる私としては勿論麒麟もセックスが出来る方がありがたいです。
 作中で2人の後朝シーンを拝めたらこの疑問は解決し、私も狂喜乱舞なのですが、おそらくその日が来ることは万に一つもないでしょう…。



 王に関して気になっていることは、「王は子供を得ることが出来るのか?」です。
 「独身で即位すると結婚は出来ない」「既に結婚していた場合は伴侶と子供も仙籍に加える事が出来る」
 とは作中で明記されていますが、「既婚で即位した王が即位した後に新たに子供を儲けることが出来るか否か」は明らかにされていなかったと思います。

 「風の万里 黎明の空」で遠甫は「子を持てない」と陽子に語っていました。が、これも「即位後は結婚出来ない」→「だから伴侶を持っても野合になる」→「従って子供も出来ない」という話の流れで、既婚で即位した王が即位した後に新たに子供を儲けることは出来ない」とは語っていません。


 独身の王は
 延王、供王、景王、
 伴侶の存在が明らかになっていないけれどおそらく独身と思われる王は
 泰王、氾王、采王、廉王、
 即位時に子供を儲けていた王は
 宗王、
 不在・もしくは不明な王は
 峯王、塙王、劉王、舜(王号不明の為国名)

 これらの中で新たに子供を儲ける可能性があるのは、宗王と、未登場の劉王、舜、そして新たに即位する峯王、塙王の5人の何方かになります。
 これらの王は今後即位後に子を儲けてくれるのでしょうか、それとも不可能なんでしょうか。可能か不可能かだけでも知りたいものです。

  結婚についての考察・全生物編
2005/11/10 ◆ 十二国記
 結婚ってゆーか、ぶっちゃけ性的な考察です。直接的な単語がバカスカ出てきます。年齢制限は特に設けませんが苦手な方は回れ右して下さい。
 あと考察と言っても結論は出てません。その点はご了承下さい。

 それでも良いと仰る方はどうぞ。


 まずこの世界、人・獣・妖獣・妖魔・植物の区別なく、全てが卵果によって生まれてきますね。勿論麒麟も例外ではなく。

 つまりこの世界でセックスは生命の営みとしての役割を果たしていません。
 セックスでは子供が出来ないイコール、セックスをする必要がない。ではセックスは行われていないのか?
 否、行われています。「月の影 影の海」の上巻ですでに娼館の存在が出て来ますから、それは疑いようがありません。また雁の前王・梟王が後宮に美姫を侍らしたともありますから、性的快感を求めてセックスが行われているのも事実と言って差し支えはありますまい。
 ということは、この世界のセックスは「子供が出来ないだけで、私達と同じく性的快楽を得ることが出来、恋人・夫婦間で行われている」と言えるでしょう。


 さて、ここで気になることが。
 子供を得ることが出来ないのなら、何故あの世界の人はセックスをするのでしょう?
 答えは性的快楽を得るため、思い人との一体感を得て幸福を感じる為、のどちらかだと思います。
 理由はこの2つでありましょうが、では何故セックスを行うようになったのでしょう?

 そもそも生物がセックスをするのは子孫を残す為です。
 性的快楽はセックスを好んで行う為に生まれた快楽に過ぎません。子孫を残す方法が苦痛を伴うだけなら誰も進んで行わないでしょう。極端に言ってしまえば、性的快楽とは子作りを好んで行う為の餌、もしくは子作り行為の素敵なオマケです。
 思い人との一体感を得て幸福を感じる、これもまず子作りありき、です。恋とはまず「この人となら強い子(子孫)を得ることが出来るだろう」という種族保存の本能から生まれた感情ですから。まぁ人間はその恋愛感情が本能から離れて同性等にも抱くようになりましたから一概に言い切ることは出来ませんが、発端はまずそれであった、ということで理解してください。

 つまり、セックスと言う行為はまず繁殖という大前提の下行われる行為だということです。
 しかしこの世界の繁殖は卵果で営まれます。鶏は卵を産みますが絶対に有精卵ではありません。繁殖が大前提の行為の筈なのに、この世界のセックスは繁殖が行われない大前提で行われているのです。これは一体どういうことなのでしょうか。


 ここで思い出したのが、作中でも幾度かほのめかされていることでした。
「まるでこの世界は誰かが創った箱庭の世界のようだ」
 と。
 作中の何処で語られていたのかははっきりと覚えていませんが、少なくとも2、3度はこのように語られていたと思います。

 もしこの世界が誰かが作った箱庭の世界だというのなら、上記の疑問は解決します。
 この世界のセックスは、私達が行うセックスの形はそのまま残したまま、ただ繁殖と言う1点だけを抜き取ったようなのです。
 セックスにおいて繁殖とは大前提、言い換えれば繁殖という目的がなければ生まれなかったであろう行為です。なのに生まれなかったであろう行為が生まれ、繁殖とは一線を隔して存在しています。
 その理由こそが「誰かが創った世界だから」ではないでしょうか?
 「誰か」は蓬莱の人間と同じ人間を創り出したけど、そこで繁殖はセックスではなく卵果という手段を取ることにしたのだ、と。そう考えれば切り離せない筈のセックスと繁殖が切り離されていることにも納得できます。

 勿論この説にも幾つかの疑問が残ります。
 何故繁殖を卵果を使って行おうと決めたのか、何故必要でなくなったセックスという行為を残したのか、等々。
 が、それらの疑問は、それこそ「誰か」に問うしかないでしょう。
 まず本当にあの世界が誰かによって創られたのかどうかも確かめなければなりませんしね。もし「誰か」によって創られたのなら納得がいくけど、「誰か」によって創られたのでなければ、全く別の理由を考え出さないといけませんし。




 少し話が逸れます。
 セックスが繁殖の為に行われていないあの世界。
 ということは、以下のことは一体どうなってるんでしょうか。

・男性が射精の際に出している物は一体何?
(精液、のはずですが。そもそも受精が有り得ない以上、精液とはまた別の物なのでしょうか。生物皆無精子症? それとも精液ではあるけど受精しないだけ?)
・男性の体に精巣という内臓器官はあるのでしょうか?
(精子が必要でない以上、精巣も必要でない訳で。必要でない内臓器官は退化していてもおかしくないですよね。類人猿から人間に進化する際に尾がなくなったように、精巣がなくなっていてもおかしくないのでは?)
・女性に月経はあるのでしょうか?
(妊娠しない以上は毎月卵子を子宮に排出する必要もなく、つまり月経もない可能性は高いですね)
・女性に卵巣・子宮は存在するのでしょうか?
(精巣と同文。もし月経がなければ子宮も存在しない可能性が高いですね)




 結論もオチもないまま「王と麒麟編」に続きます。