◆ コンビニラメントでシキアキネタ(Lamento・咎狗/シキアキ) 小話っつーか単なる忘備録。
コンビニラメントの世界で。
・遥か夢の遠くに見た風景を探す為に写真を撮って回っている内に写真家になって、本人は全然メディアに顔を出さない割にカリスマ的人気を得ているシキ(バイクは趣味兼移動手段)(あと居合も趣味)
・アキラは実両親と何故か折り合いが悪くて(両親が毒と言う訳でもアキラが問題児と言う訳でも無く、純粋に「ウマが合わない」という関係)、家を出て1人暮らしをしている。たぶん現在は大学生かフリーター。
・CD内の初対面以来シキのことが気になって仕方なくて、ケイスケのお供でコンビニに行く度にまた会うんじゃないかと気がそぞろになってるアキラ
・アキラにも「暗闇の中で自分の腕を引いて歩く誰か」のおぼろげな既視感をずっと持っていたり。
・それでまた顔を合わせたりガンを飛ばし合ったり、アキラがシキに誘拐?されたり、アレコレやってる内にデキたり
・デキてる割には恋人って訳じゃなくて、お互いに自分の気持ちを察するスキルも相手に伝えるスキルも低いから、お互いによく分からないまま執着だけが強まっていったり
・リンがシキとアキラが怪しい感じなのを知ってシキに「アキラに変なちょっかいかけんなよ」と友達を心配する気持ちから牽制したり「お前には関係ない」ってザックリ切られたり
・アキラがシキの自宅兼仕事場に行ってる時に暗室にお邪魔して、「アンタ未だにフィルムの写真なんか使ってんのか」「適材適所だ。デジタルよりもフィルムで撮る方が適している時がある」「…へぇ」なんて会話をしたり
・何となく関係を続けている内、行為を終えた後の月光が差し込む夜、互いに言いようのない既視感に囚われていたり
・シキが探してる風景ってのが、達成エンドで見た紅葉の遊歩道だったり
っていうのを思いついたので誰か描いて下さい
(自分で書けよ)
「何故にシキが写真家?」という疑問は私が知りたい。
「学生? フリーター? 何にしても、真っ当なサラリーマンはしてないだろう…かと言ってキラルカフェみたいなアレな人は流石に勘弁して欲しい。個人で働ける自由業かなぁ?」と考えてたら、脈絡も無くパッと思いついたんです。直感的に。
で、「あ、写真家なら、紅葉の遊歩道を探してるってことでいいか」とこじつけました。
◆ ハッピィバァスデェェェェ(TIGER & BUNNY/兎虎) 「バニーちゃぁぁん、ハッピィバァスデェェェェ」
「…。そんな悲痛な顔で誕生日を祝われたのは初めてですよ。何なんですか一体」
「何もないよー? いやーおめでたいなーあははー」
「何もない訳がないでしょうに…。で、その、ピンクで可愛くラッピングされた包みは、僕へのプレゼントと思っていいんですか?」
「もっちろんだよ~? お前へのプレゼント!はい!」
「はい、ありがとうございます」
「大切にしろよ~?なんたって楓からのプレゼントなんだからな!」
「楓ちゃんからの? …ああ、そういうことですか。ありがとうございます、大切にしますね」
「ううっ…楓…。パパの誕生日は電話をくれたのに…電話をくれただけだったのに…! バニーはこんな大きなプレゼントだなんて、パパは…パパは…っ」
「そういう年頃なんでしょう。あと何年かしたら親の大切さを実感できるようになりますよ」
「…ほんと?」
「それまでに決定的に嫌われなかったら、おそらくは」
「うわぁぁぁ楓ぇぇぇぇ!」
「泣くなら外に行ってくれませんかうるさいです。…わあ」
「あっこのやろ、早速開けやがって! 何が入ってんだ教えろ!」
「手紙とマフラーですね。これから寒くなっていくから、風邪ひかないで下さい、と」
「おお…流石はパパの娘だ、なんて気が利いていて可愛いんだろう! …手紙は何て?」
「手紙の内容を知りたいなんてプライバシーの侵害ですよ、と言うべきところですけど、今回はいいかな」
「? 何書いてんの?」
「一部抜粋しますね。
お父さんがいつもお世話になってます。あの通りダメダメなヒーローですけど、誰より一生懸命です。これからもずっとずっと応援しています、お父さんをよろしくお願いします。だそうですよ」
「…! 楓ぇぇぇぇ!!!」
「っ!? ちょっ、何抱き付いて…苦し…」
「パパ、頑張るからな! 頑張ろうなバニー!」
「だから僕はバニーじゃないと…ぐ…」
「ところで。虎徹さんからはプレゼント、いただけないんですか?」
「あっ」
「…コンビ甲斐がない人ですね。僕は貴方の時にちゃんとプレゼントしましたよ」
「やっ違う! ちゃんと用意してるって! ただそのー、家にだな、そのー」
「楓ちゃんから預かったプレゼントに心が折れて、忘れてきてしまったってことですか」
「そう! そういうこと!」
「…はぁ。まったく。やっぱり子持ちは子供が1番難敵なんだな…」
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バツイチ子持ちをモノにする方法を青薔薇ちゃんと日々研鑽しているとか何とか。
◆ preciously treasure 2(PT・セイバーと綾香) 頭頂部にタオルが被せられる。その上から両方の手が添えられる。ぎこちなく髪にタオルが押し付けられ、そして水分を吸わせていく。
タオルの位置を少しずつ移動させ、頭頂部から下へ、下からまた上へ。いかにも恐る恐るといった手付きなのは慣れていないからだろう。幼少時に家族を亡くし、それからずっと1人で生きてきた彼女だ。誰かの世話をする、という行為自体に慣れていないのだろう。
慣れていなくともその動きに雑さはない。むしろ丁寧過ぎる程だ。これでいいのかな、髪の毛を引っ張ったりしちゃってないかな、と、怖々に。
「セイバーはいつもどうしてるの?」
「タオルで水気を取って、それで終わりだよ」
「終わりって…拭くだけ?」
「そう。さすがに冬はもう少し念入りに拭くけど」
「何それ」
背後にいるせいで綾香の顔は見えないが、きっと呆れているのだろう。そういう声をしている。
「私にはもっとちゃんと手入れをしろーなんて言ってたのに、自分はすっごく適当じゃない」
「女性の髪と男の髪を一緒に考える方がおかしいと思うけど?」
「それは、そうかもしれないけど。でも」
タオルドライは終えたようだ。綾香は水分を吸って重くなったタオルを洗濯籠に投げ込み、代わりにドライヤーを手に戻ってきた。
女性と男性の違いを差し引いても、僕の髪はわざわざドライヤーを使わなければならない程の長さはない。それこそ水気さえ取ってしまえば後は自然に乾いていく。女性のように美しさを保つ必要はないし魔術師でもないのだから髪に特別な意味など持たせていない。強いて言うなら剣を振るう際に邪魔にならなければいい、程度の認識だ。
「…ちゃんとドライヤーで乾かして。置いてる場所は分かるでしょ?」
「だけどこれは綾香の持ち物だろう?」
洗面台に置いているのは知っているが、彼女の私物を勝手に使うのは気が引ける。だが綾香は引いてくれなかった。
「いいから、ちゃんと乾かして。…風邪、引くでしょ」
「…」
ぽつりと付け加えられた一言はドライヤーのスイッチを入れるのとほぼ同時だった。聞かれたくないのか誤魔化したいのか。綾香はそれ以上は何も言うことなく、黙々とドライヤー作業に没頭した。
熱風を頭皮に感じながら、懐かしいような、どこか面映いような気持ちにかられていた。
誰かに髪を乾かしてもらうなんて一体いつぶりのことか。それこそ自分の世話もできない幼少の頃以来だろう。前に乾かしてもらったお返しに、とのことだが、あれは僕が綾香の髪に触ってみたくて我侭を言ったようなものだったから、我侭にお返しがもらえるなんて随分とおかしな話だ。それに綾香にこうして髪を触ってもらえるのは、ただのお返しよりもっとずっと上等な体験だ。
「はい、お終い」
「うん、ありがとう」
「今度からはちゃんと乾かしてよ?」
「約束は出来ないかな。ああ、だけど」
「だけど、何」
眉間に小さな皺を作った不満顔。僕を心配して言ってくれているのだと分かっていると、何か条件があるの、と責めるような視線も満面の笑みで受け入れられる。
「君が乾かしてくれるなら、喜んで受け入れるよ」
「~!」
触れた髪先には熱が残っている。この熱がドライヤーの温風の熱ではなく綾香が触れていた熱だといい。きっとそうなら、この熱をずっと持ち続けていたいと思えるから。
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先日の逆バージョン。
延々とセイバーが惚気ているだけのような…(笑)
家路を急ぐ子供たちが横を走り抜けていく。
すぐ隣、手を伸ばすまでもなくほんの少し体を寄せるだけで触れ合える距離で歩く2人は、何か話すこともなく、視線を合わせることもなく、ただ一緒に歩いていた。
「…」
右側を歩く青年の顔は少し上、左側を歩く少女の顔は少し下を向いている。青年の視界の先は真紅の夕暮れ。少女の視界の先は数歩先の地面だ。歩いている方向は同じでも見ているものは全く違っていた。
「綾香」
呼ばれ、少女は顔を上げる。青年も視線を少女へと向けていた。名を呼ばれた以外は何も言わない。少女も何も問わない。だが意図は伝わった。ふい、とぶっきらぼうに逸らされた視線だが、少女の視界は先程よりは高くなった。いつの間にか習い性になっていた下を向く癖を諌められたから。
「綾香」
「なに」
今度はなに、と問う声に応えるように、ほら、と青年は少女の視界よりも少し上、一面の真紅を仰ぎ見る。誘われて少女も視線を上げる。雲1つない西の空、沈みゆく太陽の紅だけが全てを支配している。
同じ赤でもこんなに違うの。
見惚れたままにぽつり、と少女が漏らした言葉に応える声はなかった。青年まで届かなかったのか、或いは敢えて応えなかったのか。青年は少女の言葉には応えず、ただその手を差し出した。
「急ごう。もう日が暮れる」
「…うん」
そうすることが当然のような自然さで差し出された手が、本当に取ってもいいのと躊躇いがちに伸ばされる手を愛おしげに包み込む。
これ以上暗くなる前に、とやや足早になった少女と、それに合わせて歩く青年。夕日が作る2人の影法師は、しっかりとその手で繋がっていた。
◆ preciously treasure(PT・セイバーと綾香) 一房掬い上げた髪をタオルに包む。根元から髪先までゆっくりと丁寧に滑らせ、水分をタオルに吸わせていく。
一房終えたら、次の一房。そしてまた次の一房。それはとても丁寧に。とても大切な物を扱う手つきで、とてもとても大事に。
「…別に」
「うん?」
「どうせドライヤーで乾かすんだから、そんなに熱心にタオルドライしなくていいのに」
そもそも私の髪は、そんなに丁寧に拭かないといけない程に長くない。水滴がしたたり落ちない程度に絞りさえすれば後はドライヤーで充分だ。いつもはそうしている。
なのにセイバーは、私の髪を丁寧に丁寧に乾かしている人は、とんでもない、と顔を顰めた。
「女性の髪は大事に扱われて然るべきだろう。君、いつもそんな適当に乾かしているのか?」
「…適当で充分に乾くもの」
「乾けばいいというものじゃない。こんなに綺麗な髪なんだから、もっと気に掛けるべきだ」
「…っ」
綺麗、なんて。どの口がそれを言うのか。漆黒でも金茶でもない中途半端な茶色で、敢えて言うなら小豆色。とても綺麗な色ではないし長くもない。お手入れはしているつもりだけどせいぜいが標準、天然の美しさには叶わない程度だ。
綺麗な髪って言うのは、セイバーみたいな人のことを言うんだ。輝ける金色の髪。彼自身を象徴する剣と同じ色の。つやつやでさらさらで、とても真似できない綺麗な綺麗な髪。
そんな髪の持ち主に綺麗なんて言われても、やってくるのは嬉しさよりも居た堪れなさだ。そしてどうしようもない恥ずかしさ。セイバーがお世辞や追従で言っているならまだ適当に返せるのに、セイバーは本心から言ってる。本心から、私の髪が綺麗だと。
「ば…かじゃないの!?」
「はいはい、ほら、ドライヤーを使うからね」
私の子供じみた悪態にも慣れたものだ。じろり、と睨んでも何処吹く風、平然とタオルドライを終えてドライヤーに手を掛けた。
タオルの時と同じように一房ずつ手に取って、熱が集中しないように小刻みに揺らしながら。その手付きに危うさは全然ない。まるでプロの美容師みたいに。
「…慣れてるみたい」
「何が?」
ドライヤーの音に紛れてしまってくれたら良かったのに、それくらい小さな声だったのに、セイバーは聞き逃してくれなかった。聞き返されたら答えるしかない。だから、と続けた声は、自分でも嫌になるくらい、膨れていた。
「人の髪を乾かすの。前にもしていたの? …結婚、してたんでしょう?」
「僕が、彼女に? まさか」
有り得ない、とセイバーは笑う。
「王が王妃の髪を乾かすなんてこと、する筈がないだろう? 侍女が失職してしまうよ」
「あ」
…そう言えばそうだった。セイバーはブリテンの王で、王の妻ということは王妃ってことだ。王が王妃の世話をするなんてこと有り得ないし、王妃に身の回りの世話をする侍女がいない訳がない。つまり私が言ったことは、的外れも甚だしい…。
「…」
「僕が誰かの身の回りの世話をするなんて今までの人生ではありえなかったし、女性に限らず誰かの髪を乾かすのは、君が初めてだよ、綾香」
わざわざドライヤーのスイッチを止めて、わざわざ顔を覗き込んで。だから安心してくれ、と穏やかに微笑む。
悔しいことに私はその言葉にとても安心して、とてもとても嬉しくなってしまって、顔が赤くなっているのも分かってしまって、苦し紛れにじろりと睨むのに、セイバーはそんな私の可愛げの無さすら微笑ましいと笑ったまま。
「誰がっ、安心なんてしてません!」
「おや、どうして敬語になってるのかな」
眼鏡は外しているのにね、と分かりきった追い打ち。もう何を言っても墓穴にしかならないからと口を噤んで顔を逸らして、そうしたらようやくドライヤーを再開してくれた。
乾ききるまでそれほど時間はかからなくて、はいお終い、と声が掛かる。
一房触れてみた髪はドライヤーの熱が残っていてまだ少し暖かい。憎らしいくらいに丁寧に大事に扱われた髪は間違いなく私の髪なのに、まるで私の髪じゃないみたいな柔らかさだった。
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「treasure」は一般的に宝物、貴重品を意味する単語ですが、最愛の人、という表現にも使われるそうです。