パラレルです。
>これの続き。
「あ」
「お、ミリィ。おはよ」
嫌な顔にあった、とミリアリアは顔を顰めた。露骨に嫌そうな顔をしていると言うのにディアッカに堪えた様子はなく、むしろニコニコと破顔して歩み寄ってくる。
「おはようございますディアッカさん。それじゃあさようなら」
「待て待て待て待てって! 何もそんなに露骨に逃げなくてもいいだろ!?」
速攻で踵を返そうとしたミリアリアをディアッカは必死で追いかける。かなりの速度で離脱しようとするミリアリアだが、生憎と足の長さと歩速でディアッカから逃げ切れる訳はない。
忘れたいのに忘れようも無い入学式の出会い以来、ディアッカは顔を合わす度に迫ってくる。逃げたら逃げただけ追いかけてくる。
何でいつも追いかけてくるのよ、とミリアリアは聞いたことがあった。
その時の返答を、未だにミリアリアは信じようとしていない。
そんなミリアリアの心中など露知らず、常にない上機嫌で、ディアッカは顔を寄せてきた。
「なーなーミリィ。何か俺に渡す物ない?」
「ないです」
「一刀両断かよ…。バレンタインなんだぜ、バレンタイン。チョコくれねぇの?」
「あげない」
「ひでぇ」
あーあ、と嘆いて見せるが、下手な演技が見え見えだ。本気で哀しんでいるのではなく、こんなやり取りすら楽しんでいるのは明白だ。
ミリアリアにはそれが腹立たしい。
「キラにはあげてたじゃん。なのに俺にはねぇの?」
「…何で知ってるのよ」
「さっき会った」
キラの馬鹿、もう来年からはあげないんだから、と心中で友人を罵る。
「キラは友達だから。あなたは違うでしょ」
「え、何。義理じゃなくて本命くれる訳? うわー超嬉しい。サンキューミリィ」
「そんな訳ないでしょ! 何勝手なこと言ってるのよ!」
馬鹿じゃないの!?
睨み付けても怒鳴りつけても、ディアッカに堪える様子は無い。
それすらも楽しんでいると、何処まで冗談で何処から本気なのか分からない態度で接してくる。
「…貴方なんて嫌いよ」
「あー、またそれ?」
「大嫌い」
ミリアリアは駆け出した。今度はディアッカは追いかけて来なかった。
苛々する。
アイツといると苛々する。
馬鹿じゃないの。私はいつも嫌いって言ってるのに、いつもいつも付き纏って。
いつもふざけた態度で馬鹿みたいに好きだなんて言われても信用なんか出来ない。
ディアッカなんて大嫌いよ。
何回好きって言われても、私は好きになんかならないわ。
だって私は…私が好きなのは
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続けるなよ。 …いや、続けるつもりなんてなかったし、続きのつもりで書き始めた訳でもないのですよ。ただ書きあがったら続きになっちゃってました、という不可思議現象。
仕方ないと言えば仕方ないかもしれません。バレンタインネタを書こうと思えばどうしてもパラレルになるし。
血のバレンタインネタも書きたい書きたいと思いつつ毎年書いてません。ぎゃふん。
パトリックとレノアさんとか。レノアさんとアスランとか。ザラ一家は大好きなのになぁ…。