あの方の笑顔をずっと見ていたかった。
父君の御遺志を継ぐため気丈に頑張るあの方の力となりたかった。
だがそれが叶わないのであれば…
結婚式の中継がブリッジにも流されていた。
哨戒任務中なのだから本来はテレビ中継が流されるなど許されないが、今回ばかりは若い士官たちの要望もあり、特別に許可した。
花嫁と花婿を乗せた自動車がゆっくりと式場へと向かっていく。
祝福のために集まった国民に手を振る花嫁と花婿はにこやかに笑っていた。
花嫁の目に浮かぶ涙は嬉し涙だと、参列した誰もが思ったことだろう。
だが、私には疑問だった。
花嫁は本当に嬉しくて泣いているのか。花嫁が本当に望んだ結婚なのか、と。
一体何時からなのか。あの方が顔の筋肉だけで微笑むようになったのは。
幼い頃に父君と一緒に笑い合っていたあの方は、もっと良い笑顔をしていた。
見る者全てを明るくさせる、天真爛漫な女の子だった。誰もが好きにならずにいられない太陽のような子供だった。
それが、一体何時から。
父君が崩御されてからか。オーブの代表首長という立場に就いてからか。それとも、セイランとの婚約が公にされてからか。
何時からあのようにしか笑えなくなってしまったのだろう。
何時からご自身を抑えるしかなくなってしまったのだろう。
一体何時から、あの方は心から笑えていないのだろう。
あの方にとって今のオーブが苦でしかないというのなら、一度オーブを離れてでも。
どうか、もう一度あの黄金の笑顔を。
==============
やっと2作目、トダカ一佐を偲ぶ会。
遅。
ええと、カガリがキラに救出される時のエピソードになりますね。
個人的捏造なのですが、トダカ一佐はカガリが幼い頃、ウズミ様の護衛を勤めいて、だからその頃のカガリを直接知っている、とゆー設定があったりします。
今回それに基づいて書かれています。これから書くのもおそらくそーゆーことになるかと…(苦笑)
…だって萌へるじゃないですか。カガリとトダカ一佐が知己ってゆー設定。
願わくば「彼」がこの悲しみを乗り越え、再び「家族」を得られるように。
オーブから避難したコーディネーターの国民はプラントへ向かう者も多いと聞いた。
大西洋連邦の台頭のせいで、今や地球の何処にもコーディネーターが安心して暮らせる国などない。唯一と言えたオーブは壊滅し、今は連合の監視の下となってしまっている。
だから私も「彼」にプラントへ向かうよう示唆した。
本当なら「彼」の心の整理が付くまで、普通の生活が出来るようになるまで様子を見てやりたかったが、今の情勢を考えるとそうも言えない。私はあくまでオーブの軍人であり、国民を守る義務がある。そして部隊の長として部下を指揮する立場にある以上、非常ではあるが、1人の孤児にいつまでも付いてやることなど出来ないのだ。
プラント行きのシャトルは常に満員状態だった。
本当なら朝なり昼間なりの時間のシャトルを取ってやりたかったのだが、生憎と夜間のシャトルになってしまった。「彼」がおそらく最後になるだろう地球の姿が夜に紛れてしまうのは申し訳なかった。
しかしそのお陰で、「彼」を見送りには来る事が出来た。
これ以上何も手助けは出来ないが、せめて見送りだけは。
戦争が終わり、未だ国際情勢は危ういながらも、オーブに平和が戻った。
クサナギの指揮官として、またストライクルージュのパイロットとして、自ら前線に立たれたカガリ様も帰って来た。
国境警備の任に就き、唯一あの時と変わらない海の色を眺め、思う。
「彼」は新天地で上手くやっているのだろうか、と。
もうプラントでの生活にも慣れた頃だろう。あの年頃ならば学校に通うのだろうか。それとも成人の早いプラントでは、もう働き出す年齢だろうか。
いくら同族ばかりの土地とは言え、慣れない環境と誰も頼る人のいない生活はさぞ「彼」に苦労を強いるだろう。
もし「彼」がオーブに戻ることがあれば、一度でいい、「彼」が無事成長した姿を見せて欲しいと思う。
あの時は今でも――おそらくは一生忘れることなど出来ないだろう。
私の目の前で爆発によって一家を喪った少年の慟哭を。
悲しみと絶望と怒り、ただ叫ぶしかなかったあの少年は、シン――シン・アスカと言う名前だった。
===================
トダカ一佐を偲ぶ会発足。
会長・俺。
活動内容・4月30日から数えて49日まで集中的にトダカ一佐関連の作品をアップしていく。
活動目標・終了までに小話15本。
…多いんだか少ないんだか…(苦笑)
にしても今週はも泣き崩れでしたよぅ…。
あああああトダカ一佐ぁああああ! 貴方にはまだまだ生きて欲しかったのにぃいいい!
「プラントに戻るんだって?」
「んー、まぁな。このままお俺がここにいたって仕方ないだろ? プラントに戻った方がよっぽどやり様があるからな」
「…そうね。その方がいいかもね」
「…お前は?」
「え?」
「お前はどうする訳? これから…」
「…まだ分かんないわ。とりあえずオーブに戻って…、何かはしたいって思ってるけどね」
「…そっか。…無茶すんなよ」
「そうね。気をつけるわ」
「気をつけてどうこうなるレベルかねぇ? お前、異常に感性変なトコあるじゃん。あの凄まじい料理の腕とかさぁ」
「う…っ、煩いわね! そんなの関係ないでしょ!?」
「さぁてねー。
…ま、何するにしてもさ。あんまり無理はするなって。馬鹿なことばっかやってたら嫁き遅れるぜ?」
「煩いわね、余計なお世話よ。その時はその時で仕事に生きるからいいの」
「負け惜しみ言ってんじゃねえよ。それくらいならいつでも言えよ、俺が嫁に貰ってやるから」
「…言わないわよ、ばーか」
================
全国各地のディアミリストに様々な妄想を生み出した27話のミリアリアの発言について、ワタクシもちょっと考えてみました。
書きかけで途中1回データが飛んだのでかなりやけっぱちの殴り書きです。後に書き直すかも。
多分戦後すぐ…くらいではないかと。
何が書きたかったって、ミリアリアの最後の「ばーか」とゆーセリフ。
ふと思いついたセリフがツボに入って、そこから話を作り出す…、というのが多いですね。
アスラン・ザラに会った。
思っていた以上に普通に対応出来たと思う。少し声が尖ってしまったのは自分でも分かっていたけどそれくらいは仕方ないとも思う。
今はザフトに戻っていると言う彼に、ディアッカに会った、と言われた。
私も彼もそれ以上ディアッカのことを口には出さなかったけど、彼がわざわざ話に出した意図はわかりきってる。
ディアッカが私をどう思っているのか気付けないほど子供でもない。
そして、アスラン・ザラがディアッカを友人として応援しているのも知っている。
…だけど。
最初の印象は最悪だったディアッカも、今は嫌いじゃない。好き、と言ってしまってもいいかもしれない。
だけど、これは恋じゃない。
私はディアッカに恋はしていない。
なにもトールに一生捧げるつもりだからとか、そこまで聖人じみたことを言うつもりはない。今でもトールは忘れられないけれど、もう「好き」じゃなくて「好きだった」と思い出に数えることは出来る。それにトールは優しいから、きっと私が一生トールに縛られるのを喜んだりはしないだろう。
だけどまだ今はまだ恋は出来ない。
ディアッカに限らず、私はまだ誰かを好きになれない。
いつかはまた誰かに恋するだろうけど、今はまだ。
ディアッカは私に無理強いすることもないから、今の関係は快適だと思う。
キラやサイが時々ディアッカを応援しているのも知ってる。ディアッカを、というよりも、私がトールのことを思い詰めないように、と心配してくれているから、というのも。
2人が私を心配してくれているのだから、彼等がディアッカを応援するのは別に嫌じゃない。
だけど。
アスラン・ザラが私の前でディアッカのことを口にするのはどうしても好きになれない。
彼が友人を応援する気持ちも分かるし、彼が彼なりに私を心配してくれているのも知ってる。
だけど。だけど、と考えてしまう。
私の恋( トール) を壊した人が、それを言うの?
頭では分かっている、だけど納得出来ない。
彼がカガリさんに言ったその言葉は、そのまま今の私にも当てはまっていた。
==============
…暗い。暗いよミリィ…。
でもまぁ、これくらいは考えてるんじゃないかな、と思うんですよ。はい。
ミリィだってまだ17歳だか18歳だかの女の子ですよ。いくら戦争の中とは言え、自分の恋人を殺した人をあっさり許して普通に接することが出来る訳がないじゃないですか。
ミリアリアの中でアスランってどんな風に消化されてるんでしょうね。その辺りも描いてくれないかなぁ。無理だろうなぁ。
あと。
「私の恋( トール) を壊した人が、それを言うの?」
とゆーフレーズが物凄く気に入っています。もっと突き詰めればこれだけで長編1本書けそうな。自画自賛(笑)
注・またもやパラレルです。
猫を拾った。
別に動物を飼いたいと思っていた訳でもないし、特別猫が好きな訳でもない。ただいつも通っている道にやけに人懐っこい猫がいて、じゃれてくるのを構ったり餌を上げている内にいつの間にか家にまで上げるようになった。
俺はその猫を飼っているつもりはないし、猫も飼われているつもりは無いと思う。猫はいつも俺の家にいる訳じゃなくて、俺の帰宅時に特定の場所に決まって待っている以外はふらっと出かけたり帰ってきたりしている。だから飼い猫と言うよりは半野良と言うほうが正しいのだろう。
猫の体毛は珍しい金色で目の色も鮮やかな金だ。いかにも野育ちらしいすらっとした体躯だが、野良の割には随分と綺麗な毛並みをしている。人懐っこいことを考えると生まれながらの野良じゃなくて元は誰かに飼われていた血統書付きなのかもしれない。
「あれ? 猫なんか飼ってたの?」
「拾ったんだ。随分と人懐っこいだろう?」
「だね」
久しぶりに遊びに来たキラは猫を抱き上げた。にゃあ、と軽く猫が鳴く。初めての筈のキラにも特に警戒はしていないようだが猫はすぐにキラの手から抜け出した。キラの足元に顔をこすり付けてマーキングをし始める。
「何か意外だな、アスランが猫を飼うなんて」
「そうか?」
「うん。だって機械さえ触ってれば幸せでしょ、アスランは」
「それを言うならキラはパソコンを触っていれば幸せなんだろう」
マーキングを終えると猫は俺の方にやって来た。一瞬体を縮むませて勢いを溜め、一気に俺の膝まで跳躍する。最近ではもう椅子に座るとすぐ膝に乗ってくるから俺も慣れてしまった。猫の頭から背を撫でてやると、猫はくすぐったそうににゃあ、と鳴いた。
「ね、名前なんて言うの、その子」
「…名前?」
「…まさかまだつけて無かったとか?」
…そう言えば、付けてなかったな。
家に上げていない頃は特に呼ばなかったし、飼うようになってからも特に呼ぶ必要はなかった。気になったときは視線をやれば猫もそれに気付いてすぐにやって来たから。
名前…、この猫につけるなら、どんな名前がいいんだろう?
「…」
「…ネコとかニャーとかそういうのは止めなよ、アスラン。トリィの兄弟にしなくていいからね」
「…解ってる」
ちなみにトリィはキラが飼っているセキセイインコだ。鳥だからトリィとは、我ながら安直な命名だった。
昔は俺が飼っていたけど以前引っ越しした際にペット禁止のマンションに引っ越してしまったからキラに貰われて行った。大学に進学する際にまた引っ越したからその時にまた引き取ろうかと思ったが、キラがもう返したくないと言ったからそのままキラが飼っている。
それにしても、名前。この猫に相応しい名前…。
「あんまり難しく考えないほうがいいよ? ほら、こういうのって直感の方がいい案が出るものだし」
そう言われても直感よりも理論武装の方が得意な俺に考え込むなと言う方が無理だ。
やっぱりこの猫に相応しい、この猫を象徴するような名前がいいだろう。
人懐っこくて愛らしくて、真っ直ぐに見詰めてくる澄んだ金茶の目、何処かあたたかい感じのする金色の毛並み。
小さな太陽みたいな金色の。
「…篝」
「カガリ?」
にゃあ、と猫が鳴いた。
猫は俺を見上げていた。何か呼んだか、と金茶の目が語っている。まるで以前からその名前だったように応えた。
「カガリ」
「にゃあ」
もう一度呼ぶと、もう一度鳴いた。猫は、…カガリは俺の手にじゃれ付いてきた。柔らかくてあたたかい体が触れる。
「カガリっていうの? ふうん、いい名前じゃない。ね、カガリ」
キラが頭を撫でると、カガリは嬉しそうに目を閉じた。
そして、もう一度鳴いた。
勿論だ、と言っているように聞こえた。
猫を拾った。カガリと名付けた。
真っ暗闇でも光をくれる篝火のような輝ける金の猫だったから。
==============
2月22日は「にーにーにー」で猫の日です。
だから猫パラレルを書いてみました。
何考えてる俺。
何だか現代っぽい世界。
キラとアスランは幼馴染みの親友で大学生。多分スキップして、年はまだ17、8くらいだと思う。
アスランの家はかなり遠くだから大学近くのアパートに1人暮らししていて、キラは自宅暮らし。
で、アスランの飼い猫がカガリ。
…何だか猫シリーズの第1話みたいなお話になってしまいました。小話っつーかもう正規更新しても問題ない分量…。
ネタ神様が降臨されたらまた書きます。<うーわー…
関係ないですがセキセイインコって「背黄青鸚哥」って書くんですね。知りませんでした。
寿命は7、8年くらいが平均で、長生きすると10年くらいは生きるそうです。それに並セキセイ種、オパーリン種、ハルクイン種等、同じセキセイインコでも色々種類があるとか。
セキセイインコの世界は深い。
≪追記≫
馬鹿だ俺は。
カガリの目の色、緑って書いてました。何処が。初歩の初歩の間違いしてるよカガリ好きの癖に! 最悪だー!