獄寺女体化シリーズ、その4。
その1〜3より前、高校時代の話です。今回下品なんでその辺注意。
男子高校生の馬鹿話。
「市井は確実だよな…唐沢と付き合って2年だろ?」
「やーでもどうかな? 唐沢ってちょっと潔癖なとこあるじゃん」
「潔癖な女ほど扉を開いたらスゴイんだよ…」
「知ったように言うな童貞」
「ぐはっ。き、きさま言ってはならんことを…!」
「あとオレが知ってるのはー、田ノ岡と堀と、えーと水野谷?」
「なにぃ水野谷だと!? あいつ独り身だろ!?」
「うんにゃ、年上のおねーさまと付き合ってる」
「何だとあの野郎、羨まけしからん!」
「どっちだよ」
「…何を熱弁してんの?」
「お、ツナお帰り。風呂もう空いてるか?」
「オレで最後っぽかった。で、何の話?」
「そりゃお前、修学旅行の夜っつーたら決まってんだろ?」
「…猥談か…」
「チッチッチ、もっと情緒的にコイバナと言ってくれたまへ」
「情緒的っつーかバカっっぽい」
「うん、バカっぽい」
「バカっぽいな」
「バカバカ言うなー!」
『だってバカじゃん』
「ハモるなぁー!」
「さてそう言うわけで、ツナ君も白状してもらおうか」
「え、何を」
「いやーんツナくんったらしらばっくれちゃって〜」
「きゃーやだー、皆まで言わせないでー」
「キモいから止めろって。だから何をだよ」
『女性経験の有無』
「…」
「あっツナ逃げるな!」
「捕まえろー! フォーメーションAだ!」
「待てコルァ! お前が本命なんだぞ逃がすかぁ!」
「何だよフォーメーションAって! 本命!? 何それイジメ!?」
「イジメではありません、愛情表現です!」
「キモい! はなせー!」
「さてそう言う訳です。ツナ君、観念して白状しなさい」
「…」
「黙秘権は認めません」
「…」
「ツーナーくーん?」
「…」
「ツナ、諦めろ。ってか、無しってこたぁねぇんだろ? 獄寺とは中学の時から夫婦してるんだし?」
「…」
「いや待て、意外とまだかも。頑張ってみたけど失敗した、とか」
「あーあるある。初めての失敗がトラウマになってインポになっちまったとかなー」
「誰がだっ!? ンな訳あるかバカっ!」
「あ、怒った。そして否定した」
「てことはやっぱり経験済みかこの野郎!」
「…(しまった…)」
「ツナが経験済みと判明した以上、オレたちのすることはただ1つ…!」
「な、何する気だよ」
「さぁツナよ、覚悟するがいい。貴様のバックバージンを奪ってやるぞ!」
「何でだぁー!? 何でそうなるー!?」
「ふふふ…これは壮大な計画の始まりなのだ」
「そう…ツナをホモに目覚めさせることによって、獄寺に嫌われるという計画の!」
「きゃーいやー、ツナくんがホモだったなんてー。いやーきらーい、とか言われろ、この幸せ者め!」
「…いや、獄寺はンなこと言わねぇだろ」
「何だと! キサマ計画に水を差す気か!」
「だってさー、獄寺ってツナがホモでも気にしないんじゃねーの? ツナがホモになってもさ、女の1番が私ならそれでいいです!とか言いそう」
「あ、言いそう」
「うん。すげー言いそう」
「ぐはぁっ! くっ、この完璧な計画が失敗だとぅ!?」
「何処が完璧だよ!? 穴だらけだろ!(獄寺くんならホントに言いそう…つか、2番目でも3番目でもいいとか言うよな…。愛人とか宣言するのやめてくれ…)」
「くっ…こうなったら最後の手段だ…!」
「ああ…これだけはしたくなかったがな…!」
「…今度は何だよ…(何かもう疲れた…)」
「ツナにオレたちのバックバージンを奪ってもらい、獄寺と穴兄弟になる!」
「何でだぁーーーーーーー!!! お前らふざけるのもいい加減にしろーーーー!!!」
「いやんツナくん、アタシたちふざけてなんかないわヨ?」
「ふふ…獄寺と穴兄弟になった暁には、オレ、獄寺にロザリオを渡すんだ…」
「待て。獄寺と姉妹(スール)になるのはオレだ。そこは譲れん」
「あ、んじゃオレは獄寺からロザリオを貰う方ね」
「そう言うわけだツナ。さぁ誰がいい? より取り見取りだぜひゃっふー!」
「ツナー、じゅってーむ」
「やめろキモい近寄るなぁーーーー!!! 絶対にいやだぁぁぁぁぁああああ!!!」
果たして沢田綱吉の貞操の行方や如何に。
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無駄に長い馬鹿話ですみませんでした。
自分は書いてて物凄く楽しかったです。
ロザリオ云々は「マリみて」のネタです。知らない方はすみません。
つか男子高校生は「マリみて」を知ってるんだろうか…
女体化獄寺でツナ獄っぽく。
「デンジャラス・ビューティー」と直接話は繋がってないですが、あまり難しいことは考えずに獄寺女体化シリーズってことでお願いします。
ぴちゃん、とやけに可愛らしい音を立てて、ボトルの中身は全てグラスに注ぎ込まれた。何かの会合で何処かのファミリーから貰った年代物だったのだが、綱吉はその稀少なラベルに全く価値を見出さなかった。綱吉がこのボトルを手に取ったのは、とにかく酔えれば何でもいい。何となく手に取ったのがそれだっただけ。酒好きに怒られることこの上ない理由だったのだ。
「…っかー!」
「風呂上りに缶ビールで一杯やるおっさんみたいだぞ、ツナ。そうじゃなきゃ仕事帰りにビヤホールで乾杯してるおっさんとか」
「どっちにしろおっさんじゃん。いいよもう、気分は大して変わんないし」
適当に飲み干されたグラスにもう一杯、と別のボトルに手を伸ばしたが、綱吉が新しいボトルを掴むより早く、グラスには新しい液体が注ぎ込まれた。無色透明無味無臭、間違うことなきミネラルウォーターが。
「…山本ー? オレ、今日は飲みたい気分なんだけどー」
「明日の予定はなんだったっけなー、ボス? それくらいにしとけよ、酒は飲んでも飲まれるな」
「うー…」
ハイペースで飲んでいたのは事実なので否定しづらい。仕方ないとばかりに今度はミネラルウォーターを一気飲みした。
綱吉が自分で思っていた以上に酔いは回っていたらしい。酒以外のものが入ったことがきっかけのように、ガンガンと何かに殴られ続けられるような錯覚。山本に言われるまでもない、とっくに飲まれてしまっていたのだ。
「で、今日の自棄酒の理由は?」
「あー…、…ちょっと用があってさー、獄寺くんの実家に行ったんだけど…」
「そういやそんなこと言ってたなー」
「んー」
獄寺の実家はマフィアではないが、手広く事業を展開している。イタリアで事業経営を大きくすると否応なくマフィアと関わらざるを得ない。このところボンゴレ傘下の企業との提携の話が出ており、その件で綱吉が赴くことになった。
会社ではなく自宅に招かれた辺り、向こうは「ボンゴレのボスとは自宅に招待する程親しい関係」と周囲にアピールするつもりなのかもしれない。今すぐではなくとも、いつでも吹聴出来るようある程度の関係を作るつもりはある、ということだ。
招待されたのはボスの綱吉と、その両脇を固める2人。しかし綱吉は他の2人に適当な用を押し付けて、1人だけで赴いた。
「…愛人ってさー、何で男の方じゃなくて女の方が責められるんだろ」
「はぁ?」
「おかしくない? 愛人を作るのもガキ作るのも男の方なのにさ、男は不倫は男の甲斐性だーなんて偉そうにしてて、女と子供は愛人だー愛人の子だーって馬鹿にされるなんて」
いきなり飛んだ話に目を丸くする山本を放置して、綱吉はソファの背にもたれかかった。仰ぎ見た天井にはシンプルなデザインの照明。高級品ばっかりだと落ち着かないと嘆いた綱吉の為に、高価なアンティークのシャンデリアの代わりに獄寺が用意してくれた物だ。
「結婚してるくせに他に女作るような腐った性根を責められるべきだよね、絶対。女の方は…まぁ、ちょっとは同罪かもしんないけど、…子供には何の責任もないのにさ」
「…何か言われたのか?」
「…直接言われた訳じゃないけどね」
適当な理由を付けてわざと邸内で迷ったフリをして、重役と思しきおっさん共の会話を立ち聞きした。
『…何だ、ボンゴレのボス1人で来たのか…』
『…意外と子供…上手く言いくるめれば…』
『…あのボンゴレのボス、だぞ? そんな簡単に…』
『…出来るんじゃないか? あの妾の子を愛人にしてるような…』
『…ったく、母が母なら子も子だ…だがお陰で当家とのパイプに…』
腹の底を読むことに長けていない綱吉にも即座に理解できるくらいの、実に分かり易く、馬鹿馬鹿しいおっさん共だった。
当主である獄寺の父はおっさん共の会話を知ってか知らずか、終始友好的な態度を崩さなかった。彼が腹の底ではどのように考えているのかはまだ判断つかないが、このおっさん共と変わらないのなら…、と、綱吉は提携の是非は再考慮が必要、と断する。
胸糞が悪くなった、それも理由のひとつだが。これから提携しようとする企業のボスが来ている時に、容易く立ち聞きされる状況で本音だだ漏れの陰口を叩くような人間が重役では信用しきれない。
「…ったく。だーれが誰の愛人だってーの。恋人だっつーのこーいーびーとー」
「だな。ツナは結婚してないんだし」
「そうだよ、何で奥さんがいないのに愛人扱いになってるわけ!? 変だろおかしいだろ間違ってるって!」
「でもツナの愛人って、獄寺も自分で言ってるよな?」
「う」
オレは十代目の愛人ですから!と元気に力いっぱい叫ぶ恋人の姿が綱吉の脳裏に鮮やかに映し出される。思わず呻いた綱吉に、山本はもう一杯水を差し出した。さっきからガンガン続いてる頭痛は全然治まる気配がない。水を飲んだからと言って治るないが、綱吉はありがたく頂戴した。
「つかさ、愛人だの何だのってが問題じゃなくて。要するに獄寺が悪く言われるのがイヤなんだろ、ツナは」
「…恋人を悪く言われて黙ってる方が男じゃないだろ」
「ま、そりゃそーだ」
ひょい、と肩を竦める山本に、山本も早く恋人作りなよ、と憎まれ口を1つ。その内にな、と軽くかわされて、その夜の酒盛りは終了した。
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ツナたちは20代前後ってとこですかね。
あ、お酒飲んでるから20歳過ぎってことにしておこう。