小話帳

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 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  1/3の純情な感情・4(リボーン/ツナと獄寺)
2008/12/05 ◆ リボーン
 ツナと獄寺の相互不理解シリーズ。
 今回は別にエロっちくないけど、3と直接話が繋がってるんで隠します。


 どうにかなるだろ、って軽く考えてたのはいつまでだったっけ。


 行為そのものに慣れても行為の後のダルさは消えない。コップ一杯飲んだ程度じゃ喉も渇いたままだ。ああ、結構啼かされたもんな。
 はぁ、って溜息を吐いたのは、体の疲れよりも精神的に疲れたからだった。

「…まいったな」

 またいつもの展開だ。
 好きだって言っても通じない、体を繋げても関係ない。
 まったく、どうしてこんなに頑固なんだろうね?
 オレが獄寺君に言ってる「好き」はボスから部下への親愛の情なんかであるはずがないだろ。
 好きでもない相手と寝たいなんて思うわけないだろ。しかも、男同士で。

「十代目、風呂どうぞ」
「…ん」

 促されたまま風呂に向かった。冷房が効いた部屋でもやっぱりあんなことをしてたら汗をかく。体にこびりついてるのは汗だけじゃないし。
 シャワーのコックを回してやっと、オレは盛大に溜息を吐いた。下手に獄寺君の前で吐いたらまた何を見当違いな心配をされるか分かったもんじゃない。…って、あ、さっき吐いちゃったっけ。…ま、いっか。

「オレは恋愛感情で君が好きなんだけどねー…」

 そうはっきり言ったこともあるのに、「またまたご冗談をー」で終わらせられた。
 呟いた声は水音で掻き消される。わざとお湯にしないで火照った体を冷やした。どうせ水風呂に浸かっても風邪を引くような季節でもないし。

 ぶっちゃけ言って今のオレと獄寺君の関係は、愛人関係だ。体の関係はあるけどその間に恋愛は芽生えてない以上そう言うしかない。
 オレはさっさと恋愛も芽生えさせようと努力してる…んだけど、全然効果なしで。獄寺君は今の状態に違和感も何も持ってない。…いい加減に腹が立ってくるくらいに。
 …て言うかさ、獄寺君。自分は愛人の子供ってことで色々とイヤな思いもしてきてるのに、自分が愛人になるのは構わないの? そりゃオレ達なら子供は出来ないけどさー…。

「まいった」

 いい加減に獄寺君の頑固な思い込みには腹が立ってきてるのに、それでも好きだって思う気持ちは治まってくれやしない。
 いっそ本当に子供でも出来てくれたら責任を取る名目が立ってくれるのに。



   ===============

 何だろうこの怒涛の執筆スピード。
 そろそろツナを幸せにしてあげたい。
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  1/3の純情な感情・3(リボーン/ツナと獄寺)
2008/12/03 ◆ リボーン
 ツナと獄寺の相互不理解シリーズ。
 獄×ツナでちょっとエロっちさ有りなので隠し。



 直前で引き抜けたのは奇跡に近かった。

「…ッ、は、」

 びゅ、って妙に間の抜けた音を立てて腹の上に白濁が飛び散る。大きく深呼吸したらすぐに息は収まってくれたからさっさとティッシュでソレを拭った。腹の上にぶっ掛けられて気持ちのいい物じゃない。

「べつに」

 背中越しに声を掛けられる。十代目の声は散々喘がせたせいで擦れてしまっていた。早く水を、と思って、オレは早々にズボンを引っ掛けた。

「中に出してくれても良かったのに」
「ご冗談を。後の処理が大変でしょう」

 ゴムを切らしていたなんて何て失態だ。中出しなんてしたら十代目に負担をかける。十代目が気を休める為にお相手をさせて頂いてるのにオレだけが気持ち良くなってどうする。
 背中を向けていたから見えなかったはずだけど、苦笑した気配だけは察してくれたらしい。十代目がくすりと喉を鳴らすのが聞こえた。肩越しに振り返ったけど十代目は反対側を向いて座っていた。

「どうぞ」
「うん、ありがと」

 差し出した水は一気に飲み干された。…そんなに無理をさせたっけな、って不安になる。2杯目の要求は無かったからそうでもないのか。十代目が飲み干したグラスはサイドテーブルに置かれた。オレも自分用に汲んだコップを一気に飲み干した。

「あのさ、獄寺君」
「はい?」
「好きだよ」
「はい、ありがとうございます」

 言葉で酬いてくれるのは嬉しい。が、やっぱり照れる。恋人でもない相手でも素直に好きって言えるのはこの人の美徳の1つなんだけどな。

 この人の「特別」になりたかった。この人にとって掛け替えのない人間になりたかった。
 最初は「唯一」になりたくて意地を張ってたこともあったけど到底そんなことはムリだってすぐに気付かされた。十代目はとにかく器が大きい。その大空のような大きな懐にはたくさんの人間を迎え入れてて、そいつらを全員排除するなんて絶対ムリだし、そんなことをしたら十代目が十代目でなくなる。オレも含めた全員それぞれが大切だから全員を守っている、それが十代目だ。
 だからオレは、その全員の中でももっと「特別」を目指そうと思った。そしてそれはかなり実現できている、って言っていい。十代目が動く時に先には抜かりなく準備をしておけるよう、十代目のお考えを先に察することもできるようになった。若い頃の自称右腕じゃなくて、自他共に認める十代目の右腕になれた。
 …なった、はずだった。

「…まいったな」

 独り言のように呟いた十代目は、何でか困ったような顔をしていた。
 十代目の右腕と呼ばれるようになり、十代目のことは十代目ご自身よりも分かるようになれた、はずだった。
 なのに何で、ふいに時々、十代目をこんなにも遠く感じてしまうんだろう?


    ===============

 奇跡的に続きました。勢いに乗ってる間にさっさと書いてしまえってのが丸分かりな執筆スピードですね。

 ツナは獄寺が好きだから体の関係を持ってるんだけど、獄寺にとっては「お相手をさせていただいてる」ってだけで、自分と十代目との間に恋情が芽生えるなんてこれっぽっちも思ってない、ってのが、この相互不理解シリーズの基本コンセプトだったりするのです、よ。
 …ツナがすげー不憫ですなぁ…。思い込み強すぎだよ、獄寺君。
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  1/3の純情な感情・2(リボーン/ツナと獄寺)
2008/11/30 ◆ リボーン
「けっこん?」
「おう」

 久しぶりに顔を見せてくれたリボーンが言い出した単語を、オレは馬鹿みたいに繰り返した。

「オマエもとっくに20歳越えてんだ。いい加減に嫁の1人や2人もらえって話が出てるぜ」
「いや、嫁の1人や2人って…嫁は1人じゃないとマズイだろ…」

 何でも幹部の間でそーゆー話が出てきているらしい。わざわざ要らない情報を教えてに来てくれた…だけ、でもないみたいだ。ご丁寧に嫁候補のリストまで用意してくれてるよ。
 幹部連中のお勧めってだけあって、あっちのファミリーの1人娘だとか、そっちの大富豪の姪っ子だとか、そーゆーラインナップがずらりと。
 …ご丁寧にって言うか、嫌がらせだろコレ。

「って言われてもさー…。結婚する気なんてないよ、オレ」
「マフィアのボスなら跡継ぎを作っとくのも義務の1つだからな」
「跡継ぎって言うけど、オレはボンゴレを継続させる気はないんだって。リボーンも知ってるだろ?」
「まぁな」

 ニヤリ、って分かってて笑うんだから、まったくタチが悪い。
 一応今は時期十代目ってことになってるけど、オレはこのままマフィアのボスを続ける気はない。未来で初代にボンゴレをぶっ潰すって叫んだのを実現させるつもりだ。でもボンゴレの構成員を皆殺しにするわけにもいかないから、平和的に内部からゆっくり解体していこうってことにした。
 だからオレが十代目になるのはいいとしても、跡継ぎが必要になってくるなんてことはありえない。大体、跡継ぎが必要だから結婚するって、順番が逆だろ!

「とにかく、オレは結婚なんてするつもりないから。誰が言い出したのか知らないけどそう言っといてよ」
「するつもりはない、で納得させられる訳ねえだろ。いっそ獄寺と熱愛宣言でもしたらどうだ?」

 オレは獄寺君(性別♂)が好きなんで、女の子と結婚はできませーん、って?

「…さすがにそれはムリ。第一、獄寺君が承諾しないよ」
「まぁな。むしろオマエの結婚の方が喜ぶんじゃねぇか?」
「…」

 否定できないのが痛い。痛すぎる。
 いやでも、クロームがオレにキス(ほっぺたに)した時は怒ってたし。結婚なんてことになったらもっと…
 …「つまんねぇ嫉妬なんてしてる場合じゃねぇよな。十代目がお幸せになるんだし、盛大に祝福してやるぜ!」とかそーゆー風に、勝手に悩んで勝手に納得して自己完結するのが目に見えるようだよ…。

「あーもー…。ホントに手ごわい…」

 机に突っ伏してたら、リボーンが笑う気配を感じた。他人事だからって笑ってないで、ホントに何とかして欲しい。
 オレがどれだけ言葉にしても態度に出しても、オレの想い人にはちっとも伝わらないんだから。


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 ツナと獄寺の相互不理解シリーズ。多分続かない(オイ)。

 昨日友と話してて、「獄寺のツナへの感情はとにかく忠誠心が第一で、恋愛は入らなさそう」って言われまして、すごく納得しました。
 獄→ツナが芽生えるのってすっっっっっっっげーーーーー時間と手間がかかると思います。ツナが獄寺に「好き」って言っても「光栄です!」とか言って恋愛感情で受け取ってくれない。
 そんな訳で、ツナと獄寺って結構な割合で相互不理解な関係ですね。理解してる部分もあるけど思い込んでる部分も大きいって言う。
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  1/3の純情な感情(リボーン/ツナと獄寺)
2008/11/21 ◆ リボーン
 猛々しい。荒々しい。眼力だけで射殺されてしまいそうな。
 何度も見たことはあるけれど、向けられたことは初めてだ。
 この目は彼が強敵と合間見える時の。

「十代目」
「何」

 気圧されそうになる、けど、怯むわけにはいかない。余裕綽々に見えるように笑って答えた。多分いつもの獄寺君にならあっさり見破られる程度の虚勢だった。

「十代目は、オレがいなくなった方が嬉しいんですか」
「そんなわけないだろ。獄寺君がいなくなったら寂しいよ」
「じゃあ、何で」

 噛み付かれた。
 キスなんてものじゃない。唇が切れて血がにじむ。いつになく強引に舌が割り入ってくる。強く吸われた舌はそのまま食い千切られるんじゃないかって思った。
 こんなキスは初めてだなって思ったけど、ああ、それ以前に、獄寺君の方から仕掛けてきたこと自体が初めてだったんじゃないかな。いつもいつもオレからしかしなてないから。

「…怒らせてみたかっただけ、って言ったら、もっと怒るのかな」
「…は? …何なんですか、それ」
「その通りなんだけど。獄寺君は今までオレに本気で怒ったことってないだろ」

 勿論それだけじゃないけど、そこまでは言ってあげない。そこだけは自分で気付いてくれないと、さすがに寂しい。

「初めて見たな。君のそんな顔」
「…十代目」

 少しだけ力の弱まった目が、ちょっとだけ困ったみたいに睨んでくる。
 オレは、ちょっとだけ笑う。
 君のそんな顔も好きなんだよって言ったらもっと困らせてしまうんだろうか。

「オレは、一生貴方のお傍にいます。絶対に」
「うん。オレも獄寺君がいてくれないと困る」


 もし本当にそんなことになったら「困る」程度ですむわけがない。
 けど今は、これ以上は言わないことにした。



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 状況不明。一体何をしたんだツナ。
 「ツナに噛み付く獄寺」が書きたかっただけで、シチュエーションだとか何歳くらいなんだとか恋人同士なのか?とか、何も考えてません。てへ。

 タイトルは何となく、ツナ→獄寺って上手く伝わりにくそうだなーって思ったので。
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  彼らだけの特権(リボーン/ツナと獄寺)
2008/11/14 ◆ リボーン
 10年後か、もうちょっと前くらい。
 20歳すぎた頃か?




 決算を終えた書類を整える様子をじっと見ていた。
 見つめていた、と言うよりはにらんでた、って言う方が正しい。気付いた獄寺くんは十代目?って声を掛けてくる。おれはうん、とだけ応えた。まるで答えになってない。

「何か他にご用でもありましたか? …あ、来週の会合なら、山本が」
「あのさ、獄寺くん」
「はい」

 自分に向けられる意識に気付くのは早いくせに、その意識がどういう種類のものなのか気付くのは遅い。遅いって言うか、分からない。
 はっきり言葉にされるまで全然気付いてくれない。これじゃあ意識を向ける側は大変だ。昼間のあの子もそうだし、おれだって何年もかかった。

「うちのメイドをナンパしたらダメだからね」

 ついさっき偶然覗いてしまった光景を思い出す。緊張と興奮で顔を赤らめながら好きですって言葉に万感を込めて告白していた女の子と、「悪ぃけど」の一言でバッサリ切って捨てた獄寺くん。
 見ての通り獄寺くんはきれいな顔立ちで、おまけに老舗マフィアの次期ボス(おれ)の右腕で出世頭だったりするから、こういうことは昔から絶えたことがない。偶然見かけてしまったのも10回や20回じゃないし、獄寺くんの断り方も堂に入ってる。
 …の、だけれど。

「…どっちかっつーとおれの方がナンパされてた立場ですけど」
「うん、分かってるけどね」

 ちょいちょいと手を振って呼び寄せる。机の前を回っておれのすぐ横まで。
 おれは椅子に座ったままで獄寺くんは立ったままだから高さが違いすぎる。無理矢理ぐいって引き寄せて、勢いそのままにキスを押し付けた。
 はっきり言って色気も何もない。歯が当たって痛かった。

「…この家できみにこーゆーことしていいのはおれだけだから」
「…何当たり前のこと言ってんですか」

 屈んだ体勢そのまま、獄寺くんはおれの顔を両手で包んだ。切なげに細められた目に映るのはおれだけだ。
 うわ、ずるい。おれがこの顔に弱いって知っててやってるんじゃないか。そう疑いたくなるような至近距離で、おれだけの特権を囁いた。

「この家でもこの家じゃなくても、おれがこーゆーことするのは十代目にだけです」

 何故か獄寺くんは最初のキスだけは躊躇いがちで、おれはすくい上げるように自分からキスを強請った。



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 初・ツナ獄。
 年齢設定が適当ですみません。

 そしてツナたちの一人称を覚えてなかったので「おれ」にしたんですが、「俺」か「オレ」だったような気もしてきました。どれだったっけ。
 あと「獄寺くん」なのか「獄寺君」なのかも。細かいことだけど気にしだしたら気になってしまう…。
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