小話帳

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 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  Blue,Blue,Deep Sky(ツナと獄寺)
2010/04/19 ◆ リボーン
 それは多分、聞かなかった方が良かった会話。



 空は快晴。雲ひとつ無いいい天気。もうちょっとしたら直射日光が厳しくなるから、多分今が日向ぼっこを楽しむ最高の季節だろう。
 眩しいけど暖かい。暑いけど気持ちいい。誰が考えたのかしらないけど、晴の守護者ってほんとにいいネーミングだと思う。こういう天気のこういう気持ちいい気風の人たちばっかりだから。
 …あれ。でも、未来の正一って確か…晴だったよな。…晴って言うか…滅茶苦茶インドアの研究者タイプだったけど…
 …細かいことは気にしない。うん。そうそう。それを言うなら獄寺くんも晴属性を持ってるしね!

「…あー」

 無理矢理どうでもいいことを考えてたのに、思考がそっちに戻ってしまった。
 獄寺隼人。おれのクラスメート。自称おれの右腕。嵐の守護者。
 補習を食らってたおれと一緒に帰るべく、教室で待ってた。

「…もーどりたくないなー…」

 補習に持っていったのは辞書と筆箱だけだ。教科書が詰まった鞄は教室に置きっぱなしにしておいた。いつまでも屋上にいる訳にはいかないし、帰るなら鞄を取りに行かないといけないんだけど。
 けど。

『何でお前らってさー、あんなにツナにべったりな訳?』

 途中でトイレに行った。補習してた特別教室とトイレの間に教室があった。だから通りかかった。
 別に立ち聞きするつもりなんかなかった。自分の噂話なんか聞きたくないし。

『べったりって何だよ、べったりってのはよ。お前ら喧嘩売ってんのか?』
『違ぇって。んじゃ言い直す。お前ら何であんなにツナが好きなわけ?』

 クラスメートその1と、獄寺くん。お前「ら」って言うのは山本も含めて言ってたのかもしれない。その時山本はおれと仲良く補習中だったけどね。
 幸か不幸か。獄寺くんはその時廊下に背を向けていて、だからおれが通りかかったのに気付いてなかった。

『お前ら分かってねぇんだよ。十代目がどれだけ偉大な方か理解したら、お前ら全員十代目に平伏すぜ』
『ンな大袈裟な。ツナがいい奴ってのは知ってるけどさー』

 もう40分くらい前のことだから、今教室に戻っても、もうこの話はしてないと思う。けど何となく戻りたくなかった。多分獄寺くんは、今か今かっておれが帰ってくるのを待ってるんだと思うけど。
 …別に鞄を取りに行かなくてもいっか。一晩学校に置きっぱなしになるけど…別に持って帰ったって予習とかする訳じゃないし。そうだ、このまま帰ってしまおう。

「っと」

 勢いを付けて起き上がった。階下に向かうドアを閉める直前に何となく振り返った空は、やっぱり青空。
 嵐なんかどこにも入る隙間が無いくらい、憎たらしいくらいの晴れ渡った空だった。



    ====================

 大きな大きな空の下なのに、僕はとてもちっぽけで。

  ???
 火を近づける。
 息を吸って風を通す。
 火が点く。
 煙が喉を通過する。
 肺を満たす。
 その味を確かめる。
 白い煙を吐き出す。
 舌にぴりりと刺激が残る。

 感想は、苦いと辛いと、舌が痛い。
 とても美味しいなんて思えなかったけど、慣れたらそれが欲しくなるんだろうか。
 彼とのキスのように。


   =============

 リハビリのつもりで書き始めたんですが、消化不良…。
 誰のつもりで書いたのかも不明(それってリハビリ…?)。

 カテゴリはタバコを吸うキャラが出てくる作品で設定しておきました。
 バサラならむねさまと幸村、りぼーんなら獄寺とツナ、銀魂なら土方か高杉と誰か。
 好きな人で脳内変換よろしく。

  殺人考察・2(獄寺と山本)
2009/08/28 ◆ リボーン
 もう大丈夫だから、と言った顔は蒼白のままだった。
 どう見ても大丈夫な顔じゃなかったが、納得したフリをした。
 これはオレがいてもどうしようもない問題で、そしてオレがいない方が楽になれるだろうから。


「よ」
「…」

 偶然通りがかったような顔をしているが、オレが出て来るのを待ってたのがバレバレだ。うざってーが今日ばかりは仕方ない。おう、と適当な返事をして、不承不承並んで歩き出した。

「どうしてる?」
「吐きっぱなしだ、相当キてる。今晩中に落ち着くのはムリだな」
「そっか」

 誰が、どうして。この会話に主語は必要ない。2人とも見ているから。
 撃ち合いの最中、十代目が撃った弾が、敵の頭を貫通するのを。

「…お前はどうだった」
「ん? どうって?」
「初めて人を殺した時のことだよ」
「ああ、それか。実を言うと覚えてない」
「…お前、野球バカが極まって記憶障害まで起こしてるのかよ」
「いやそーじゃなくて」

 野球バカはホントだけどさ。そう苦笑する。

「混戦状態の斬り合いだったんだ。で、全部終わってから『全員死んでます』って言われた。だから覚えてないんだよ、オレがいつ人を殺した一太刀を斬ったのか。オレが殺したのは間違いないんだけど、決定的な一撃がどれか分かんねぇの」
「…何つーか、てめぇらしいな。完全に入り込んでたから殺す殺さないの躊躇もなかったんだろ、てめぇ」
「ま、そーだろーな。そーゆー訳で、気が付いたら人殺しになってました、だ。さすがに自分が人殺しだって分かった後は結構キたけど、決定的な自覚がない分、今のツナ程じゃなかった」
「…」
「だからオレの話を聞いても、参考にゃできないぜ?」
「うっせ」

 そもそも他人の話で参考に出来る問題なんだろうか。
 人が人を殺す状況も理由もそんなのは千差万別だ、同じ状況・同じ理由で殺しても、人殺しの事実の受け止め方はその人によってまた変わってくる。もし山本が十代目と同じ状況で人を殺しても、山本と十代目は別の結果になってるんじゃないか。
 じゃあ、今の十代目をお助けするにはどうすればいいんだ。
 十代目はどんな人間でも全部抱え込む大きな心をお持ちで、だからこそ誰よりも人殺しを厭っていた。十代目が厭うならオレや山本がそれを負うのは当然のことなのに、オレたちに背負わせてしまっていると心苦しく思って下さっていたのに。
 今日間違いなく、十代目は人を殺した。

「…オレたちが下手に口を挟むことじゃないんだろ、たぶん」
「…」

 もうそうするしかないって分かっててもコイツに言われるのは癪に障る。
 くそ、とオレは意味のない舌打ちを1つ、まずいと分かってるタバコに火を点けた。


   ==========

 タイトルを先日書いた1と合わせて「殺人考察(前)(後)」にしようかと思いましたが、さすがにそれだけは自重しました(笑)
 パクりにも程がある…ってのもありますが、答えが出てないのに(後)って付けるのはどうかと思いましたので。

  殺人考察(ツナと獄寺)
2009/08/24 ◆ リボーン
 平静を装うのは成功した。
 家までは何とか持ちこたえた。
 部屋に戻ったら、すぐに吐いた。



「…あー…」

 気持ち悪い。胃の中なんてとっくに空っぽなのに嘔吐感は全然おさまってくれない。ひっきりなしに頭をガンガン殴られてるような感じ。勿論腹も痛いし、吐く時におかしな体勢で固まってたから、腰も変に痛い。胃液で喉が焼かれたみたいだ。ひりひりする。気持ち悪い。
 中学生の頃から散々闘い続けてきたお陰で痛みを意識から切り離す方法なんてとっくに身に付けてるのに、今回ばかりはそれができない。痛みを切り離したらもっと酷いものがもっと酷くなっておれを襲いに来る。でも予想よりもずっとマシだった。

 もっともっと辛くなると思ってた。その場ですぐに倒れて全部吐き出して気を失って1週間も目覚めない、みたいな。その間ずっと悪夢にうなされるんじゃないかって。
 悪夢を見るのはこれからだろうけど、少なくともその場では吐かなかったし、その他大勢の部下にはバレない程度には平静を装うこともできた。おれって結構演技派だったんだ、なんてバカみたいなことを考える余裕もあった。
 この程度で済んでることに喜ぶよりも、この程度で済んでることにショックだった。

「十代目」
「…うん」

 差し出された水を一気に飲み干した。水差しごと持って来てくれたお陰ですぐにお代わりできた。でもそれもまた吐いた。そろそろ止まらないと脱水症状とか起きるんじゃないか? ゲーゲー言いながら余計なことばかり考える。銃弾1発。骨を砕く衝撃も肉を斬る感触もない。指をほんの少し動かしただけ、それで飛び出した銃弾が頭蓋骨を貫通した。たったそれだけ。

「獄寺くん」
「はい」
「幻滅する?」
「まさか」
「君ってホント、おれのこと甘やかしてるよね」
「そうですか? そんなつもりはありませんが」
「ははっ」

 獄寺くんも山本もとっくに経験済みなのに、おれだけ未だに経験してなかった。それはおれがずっと嫌がってたからだけど、おれが嫌がってるからおれにそれだけはさせまいと獄寺くんが奔走してたからだ。文句1つも言わないで。これのどこが甘やかしてないんだよ。

「覚悟、してたつもりだったけど。全然だったな」


 おれは今日、初めて、人を殺した。


    ===========

 「LAST CROSS」の後の話っぽい。

 最後にリボーンを書いてから半年近くが経過してました…。なんて怖ろしい放置っぷり…!

  darling darling(政宗と幸村)
2009/07/10 ◆ 戦国BASARA
 政宗×女体化幸村です。
 えろくは無いですが、女体化苦手な方もいるでしょうから、隠しで。


 幸村は頬を押さえて飛び下がった。顔どころか全身が太陽よりも真っ赤で、あわあわと口を出る言葉は意味を成さない。
 余りにも予想通りすぎる反応、政宗は自然とこぼれる笑みを堪えきれずに口元を抑える。まるで揶揄されているような反応に一層幸村の羞恥は増した。

「はははは破廉恥でござる! めっめおとでもない者がこのような…!」
「Ah,ha? 夫婦ならいいんだな?」
「はっ!?」

 頬を押さえていない方の右手が掬い取られる。あまりに自然な動きだったので幸村の反応は遅れてしまった。
 とても鍛えられた、それでいて女性らしい柔らかさを持つ手が、政宗の手に添えられていた。女性にしては骨太、無骨とまで言われる幸村の手だが、それでもこのように政宗の手と並べると、明らかに女性の手と分かる。幸村の手は柔らかく、政宗の手は硬い。幸村の手は小さく、政宗の手は大きい。
 幸村は間違いなく今自分に触れているのは「男性の手」なのだと意識した。意識してしまったら、動けなくなった。
 政宗の顔が徐々に下りてきていると気付いていたのに、手の甲に口付けを落とされても。

「Will you marry me, my darling?」

 西洋の騎士が姫君に接するように、恭しく丁寧に落とされたキス。つい先ほど頬に口付けられたことも忘れた。今まで一度も見たことのない表情――まるで幸村に請うように、政宗は見上げている。
 政宗が口にした言葉は異国のもの、当然幸村には理解できない。意味は理解出来ないが、その手に口付けられたという事実、そして注がれる熱い視線に、自分は途轍もないことを言われたのではないか、と察せざるをえなかった。
 意味を問うことは怖ろしい、だがこのまま流せる訳もない。完全に混乱しきった頭はまともに動いてくれない。
 真っ赤と真っ青を繰り返す幸村の顔色。政宗の喉がくつりと鳴った。

「Ha, 通じねぇか。まあいい、正式に使者を立てて申し込んでやるよ。この俺からのproposalだ、まさか断るなんて野暮は言わねぇな?」
「ぷ、ぷろ…?」

 ぷろぽおずとやらが一体何のことなのか、やはり幸村は解からない。
 正式な使者と言うからには何らかの申し出がされたのだろう。実際に使者とやらに伝えてもらわねば何のことなのかさっぱり解からないが、幸村は自分が断ることは無いだろう、とほぼ確信していた。

 この伊達政宗が、自分を見て触れて、幸村の体も心も熱くする。その仕草、視線は破廉恥で恥ずかしくて堪らないのに、同時にどこか締め付けられるような多幸感を与えられているのも否定出来ない。
 その政宗からこんなに切なく請われてしまっては、まさか自分が拒めるとは思えないのだ。


  =============

 政宗×女体化幸村は笹さんに開眼させて貰いました。
「幸村が女なら、政宗さまは物凄く気障に激しく幸村を口説いてくれるよ!」
 …この一言で落ちました。ええ落ちましたとも!

 という訳で1つ書いてみましたよっと。

 一応補足。
 「darling」って日本では恋人(女)が恋人(男)に対して使う言葉ですが(「愛してるよマイハニー」「愛してるわマイダーリン」って感じで)、正しくは性別関係なしに恋人へ呼びかける言葉です。
 ので、政宗さま(男)が幸村(女)に呼びかけてもおかしくはないのですよ。