小話帳

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 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  What are little girls made of?(ハリーとキエル)
2010/11/07 ◆ ∀ガンダム
 とある午後のこと。珍しくその日は時間が空いていて、前倒しで進めておきたい案件もなかった。だからたまには、ゆっくりとアフタヌーンティーを楽しむことにした。
 お気に入りの茶葉は砂糖なしのストレートで。お茶受けのお菓子は侍女がお勧めしてくれたマロングラッセ。とても甘くて美味しくて、ぽかぽか陽気がとても心地よくて、テーブルの対面にハリーがいて下さってる。とても穏やかで幸せな午後の一時で、だからふと思ってしまった。
 ご自身もお忙しいこの恋人が、わざわざ私の為に時間を割いて下さっている理由が。

「大尉はどうして私を好きになって下さったの?」
「…難しい質問をなさいますね」
「難しいのですか?」
「いえ、簡単なのかもしれません」

 ハリーは渋面とも苦笑とも言えない表情を浮かべらっしゃる。だけどハリーははっきりとは答えを下さらない。

「私からも伺いたい。貴女は私の何処を好きになって下さったのですか?」
「質問に質問を返すのですか?」
「私が答えるのに、貴女の答えが必要なのですよ」

 私はハリーの意図が解りかねて少し首を傾げる。私と同じ理由ですって仰るつもりなのかしら? でも、ハリーが私と同じ理由というのは考えられないのだけど。

「そうですね。…吊り橋効果、かしら?」
「…は?」
「誰を信用して誰を疑うべきかも定かではない状態で、無条件に頼れる方が貴方だけでしたから、心の支えにするのは当然ではありませんか?」
「…」

 もしかしてハリーは吊り橋自体をご存じないのかしら。吊り橋効果という言葉を解りかねてらっしゃる様子だけど、補足したセリフで意味は理解なさったみたい。そう言えば月では吊り橋を見た覚えがないわ。今度地球へ降りる時に実物を見せて差し上げるべきかしら?
 ハリーは私の答えに納得しきれていないようで、何だか挙動不審に視線をさまよわせ始めた。その時に頼れた人間ならハリーでなくとも良かったとも取れる発言だから。
 だから私は、くすりと微笑う。

「最初のきっかけはそれですが、次第に貴方の人となりを知っていく内に、どんどん貴方という方の全てが愛おしくなっていったんです。一過性の吊り橋効果だけでは、ずっと好きでいつづけられることはありませんから」
「…」

 ハリーは大きく溜息を吐いて、まったく、と呟かれた。私はハリーの反応が可愛らしくて微笑ましくて、くすくすと笑い声を漏らしてしまった。

「本当に貴女は、人の悪い冗談を仰る」
「あら、本当のことですのに」
「ですから余計に、です」
「まぁ」

 最初からからかうつもりでは無かったけれど、ハリーの反応を楽しんでいたのは事実だったので、それ以上の反論はなし。お茶で少し喉を潤してから、それより、と本題に戻ることにした。

「私の答えはお分かり頂けました? それでは、ハリーの答えは? 教えて下さいな」
「…」

 ハリーは黙って立ち上がり、私のすぐ傍までテーブルを回っていらっしゃった。ハリー?と見上げた私の額にキスを1つ、悪戯のように落とされる。

「貴女を愛おしいと思う理由はあまりに膨大すぎて、言葉ではとてもお伝えしきれません」
「…」

 …何だかずるい、ような気がする。
 ハリーの答えがこれなら、わざわざ先に私の答えを聞く必要は無かったと思うのだけれど。
 言葉にはしなくても恨めしそうに表情を作ってしまっていたようで、ハリーはとても意地悪そうに微笑んだ。まるでついさっきの私のように。

「その通りですよ、キエル。私はただ貴女の答えが知りたかっただけなのです」
「…人が悪いのは私ではなく、貴方なのではないかしら」

 言葉の代わりにキスで応えられてしまって、私はずるいです、と文句を言うタイミングを失ってしまう。
 本当に何処までも優しくて、時々ずるくて、――どうしようもなく、愛おしい人。


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 神戸風○堂のマロングラッセを買いに行ったら「今年は11月10日からなんです」と言われ買えなかった記念に、マロングラッセをお茶うけにしてみました。
 あそこのマロングラッセって高いけど(一粒630えん…)、最高に美味しいんですよぅ。栗のお菓子では最高の一品なんです。ほんとに。

 タイトルはマザーグースの有名な一節から。


 女の子は何で出来てるの?
  What are little girls made of?
 砂糖 スパイス
  Sugar and spice
 素敵な何か
  And all that's nice,
 そんなこんなで出来てるわ。
  That's what little girls arc made of.
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  つやつや、ふわふわ。(マクロスF/アルトとランカ)
2010/11/06 ◆ その他・アニメ
「きれいだなぁ」
「…は?」

 唐突に呟かれた言葉にアルトは思いっきり顔をしかめた。何か商品の紹介をしている番組を見ながらだったり、彼女が好きそうな小物を手に取りながらだったりならおかしくも何ともないセリフだが、ランカが今触っているのはアルトの髪だ。「結んでみたいな」というおねだり1つであっさりアルトの抵抗を陥落させ、至極幸せそうにブラシで髪を梳いている。

「きれいって、何がだよ」
「アルトくんの髪の毛だよ。すごくきれい」
「…どこが」
「全部。艶やか…って言うのかな? すごく深くてきれいな黒い色だし、まっすぐでつるつるしてるんだもん」
「…つるつるって褒め言葉か?」
「え、おかしい?」
「あんまり言わないだろ。って言うか、オレの髪の毛なんか褒めてどうするんだよ」
「だってきれいなんだもん」
「…」

 屁理屈を通り越して会話が成立していない気がする。
 言うことを言って満足したのか、ランカは小さく歌いながら、軽やかにアルトの髪を持ち上げた。いつも彼がしているのと同じように高い位置で結い上げる。鳴れていないと紐で結うのは難しいだろうと、アルトはいつもの飾り紐ではなく輪っか状のゴムを渡していた。ゴムで位置を固定したその上から紐を結って、いつも通りの髪型の出来上がりだ。

「はい、出来た! どうかな、おかしくない?」
「ん、サンキュ。大丈夫だろ、いつも通りだ」
「良かった!」

 うなじの辺りを触ってみたらややほつれているようだったが、ランカには言わないでおく。この程度なら見えない位置なので後で自分で直しておけばいい。ランカの兄のことをシスコンなどと普段から思っているアルトだが、自分も相当に彼女に甘いことは恐ろしいほど自覚していない。

「いいな、アルトくんの髪の毛って。さらさらでつるつるで、まっすぐ」
「何だよ、さっきから」
「だってほら、わたしの髪の毛って全然つるつるじゃないんだもん。うらやましいよ」
「別に…、いいだろ、ランカはランカで。十分可愛い」
「え」

 ランカの髪は彼女の性格そのもののような、ふわふわで優しい手触りをしている。その感触を確かめるように手を伸ばし、頭長から髪先まで指で梳いていく。
 ランカの顔が沸騰していることにアルトが気付いたのは、2度、3度と堪能した後だった。つられるようにアルトも顔を沸騰させ、恥ずかしさが居た堪れなさに連結し、何となく2人とも視線をそらしてしまう。

「あ、えーと…ごめん。勝手に触った」
「え、その、いいよ。別に謝るようなことじゃない…と思う、よ?」
「…あーうん、そうだよな…」

 何とも気まずい空気の中、偶然ランカの携帯電話がコール音を響かせ始めたので、助かった、と2人とも心底安堵したのだった。


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 書いてから気付いたんですが、これ、シチュエーションが後朝っぽいですね。
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  デンジャラス・ビューティー その5(ツナと獄寺)
2010/11/05 ◆ リボーン
 獄寺女体化シリーズその5。
 その1・2の後くらいの話です。

 豪華絢爛って言うのが相応しいホールには100人は軽く超える大人数が集まっていた。それだけの人数がいるにも関わらずホールが狭いという感じは全然ない。つまりそれだけ広いってことなんだけど。
 ワルツに合わせて踊る人が半分くらい。残りは談笑してる人がほとんどで、その談笑の内容って言うのが、男が女を口説いてるっているのが大半だ。手練手管を駆使して女性に話しかけて、上手く行ったらワルツに加わる。失敗したらまた別の女性を見つける。

(すごいよなぁ…)

 何であんなにエネルギッシュにナンパし続けられるんだろう。振られたらあっさりはい次って切り替え良すぎだろうに。その切り替えだって適当に目についた女性なら誰でもいいって訳じゃないんだもんな。いつでも口説く相手には直球で本気になってるんだから、ほんとにイタリア男ってすごい。

「10代目? こんな端で何なさってるんですか?」
「あ、獄寺くん」

 こういう夜会とかパーティとかいう場にはそれなりに慣れたけど、やっぱり自分が似合うとは思わない。目的の商談が終わった後は自由行動な時間で、ボンゴレのボスっていう立場の人間にすり寄りたい女の人がやってきたりもしてたんだけど、今オレは壁の花になってた。
 …いや、花じゃないけど。オレ男だし。

「何もすることないから、ぼけーって突っ立ってた。獄寺くんは? 用事は終了?」
「はい、滞りなく」

 獄寺くんは普段はこういう場にもスーツ姿で来ることの方が多い。けど、今日はオレの希望でばっちりドレスを着てる。この前囮をしてもらった時のドレスアップ姿がまた見たいな、ってお願いしたら、結構あっさり聞いてくれた。ちょっと照れくさそうにしながら、だけど。…そういうところ、可愛いよね。

「それより、さっきまで身の程知らずな女たちに群がられていましたよね? 全員追っ払ったんですね、流石です!」
「いや追っ払ったって言うか、自然に離れて行ったって言うか。ほらオレって気の利いた口説き文句の1つも言えないからさ」

 イタリア男の口説きテクニックに慣れてるイタリア女性にはロクに褒め言葉の1つも言えないオレなんて問題外だ。ちょっと話しただけですぐに見限られた。ま、オレはその方が助かるんだけど。こんなパーティーで出会った女の人を口説くつもりなんて更々ないんだから。

「…口説き文句を言えるか言えないか程度で男の価値を決めるなんて、下らない基準です」

 『ボンゴレのボス』が目当ての女性が群がってたのにイラついて、そういう女性がオレを見限るのにもイラついてるみたいだ。
 獄寺くんの基準はいつも『オレ』だ。怒るのも喜ぶのも、――男の価値も。

「それじゃ、獄寺くんはオレの手を取ってくれる?」
「…」

 差し出された手にちょっと吃驚したみたいで、獄寺くんはオレの顔と手を交互に視線をきょろきょろさせた。オレは手を取ってくれるのを根気強く待つ。
 …イタリア男ならこういう時にまた何か女性を褒める言葉の1つや2つがスラスラと出てくるんだろうな。
 でも生憎とオレは日本生まれ日本育ちの朴念仁で、イタリア男じゃない。好きな女の子を褒める言葉も中々言えない。
 それでも、オレを選んだのは獄寺くんだ。

「…はい」

 その手は躊躇いがちにだったけど、確かにオレに差し出された。
 はにかんだ笑顔にオレが言えたのは、かわいいよ、なんて月並みにも程がある言葉だったけど。獄寺くんは物凄く嬉しそうに、物凄く可愛らしく、ありがとうございます、って満面に微笑んでくれた。


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 イタリア男の口説きテクニックは本当にすごいらしいです。
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  My Fair Lady?(宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ/ローソンと洋子)
2010/11/04 ◆ その他・小説
「それで、どの辺が子供なのか説明してもらいましょうか」
「…まだその話を引きずってたのかい?」

 戦闘が終了し、バブルボードから出てきた途端の第一声だった。出迎えたローソンはやれやれ、と肩を竦め、その呆れ果てた仕草に洋子の眉がさらに吊り上る。

「当たり前じゃない。あたしの名誉に関わることなんだから、はっきりさせないと」
「名誉って…大袈裟な。洋子君は15歳だろう? 子供の範疇に入って当然の年齢じゃないか」
「精神的に成熟してたら15歳でも立派なレディなのよ! ったくこれだから研究オタクの朴念仁は、違いが分かんないんだから」
「研究オタクって言う点は否定しないけどね。僕にはとても君が精神的に成熟しているレディには見えないよ」
「だからどの辺がよ!」


「君は子供だよ。自分を子供じゃないって主張している内はまだ、ね」


「…」
「ミーティングをするからブリッジに来てくれって、リオン提督からの伝言だよ。僕はTA−29の状態をチェックしてから行くから」
「…分かったわよ」



「…やっぱり洋子ちゃんだけ特別扱いしてるやん」
「そうよねぇ。結構本気っぽいわよね、あれ」
「そうですか? 私には普通の会話に聞こえましたけど…」
「綾乃、鈍すぎ。あれで普通ってありえないから」
「せや。洋子ちゃんも子ども扱いされてるんをかなり気にしとるってバレバレや」
「はぁ、そうなんですか?」


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 ヨーコの完全版発売記念! ってことで1つ。
 完全版1巻、文庫版なら2巻の直後だと思って下さいな。あの会話を踏まえて、です。
 …あーでも、あの頃ならまだこの段階まで来てない…な…。…もうちょっと後ってことにしておくか…。

 私はローソン×洋子を推奨してるんですが…うんまぁ原作では洋子は誰ともくっつかないで終わると思うよ。それでいいと思う。
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  WHY DO YOU LOVE ME?(アスランとカガリとキラ)
2010/11/03 ◆ 種・デス種
「カガリって何でアスランを好きになったの?」
「何でってお前、何だいきなり」
「ちょっと気になったから。だってほら、アスランって口うるさいし、基本は馬鹿正直な優等生の癖にいきなり素っ頓狂なことをやったりするし、結構面倒な奴だと思うんだけど」
「お前仮にも友達に対して酷いこと言うな」
「事実でしょ」
「否定はしないけどな…。何でって、改めて言われても…」
「もしかして、顔? 一応美形の分類に入る顔立ちだと思うけど」
「私は面食いじゃないぞ」
「だよねぇ。で、それじゃ何で?」
「うーん…」


「っていう会話をこの前カガリとしたんだけど。続き、聞きたい?」
「…いらん。どうせロクでもないことに決まってる」
「へー、ロクでもないって分かってるんだ。アスランって自分がロクデナシだって思ってるんだ? ロクデナシに可愛い妹はあげられないなー」
「誰がロクデナシだ、誰が! お前とカガリが結託したらロクでもない結果になるのは今までに散々実証済みだろうが!」
「僕とカガリより、カガリとラクスが結託する方が酷いよね。ほらこの前の男装女装パーティとか」
「思い出させるな、悪夢だあれは」
「悪夢とまで言う? …確かに色々と酷い人もいたけど…。
 で、話を戻すけど。知りたくない?」
「…知りたくない」
「意地張っても仕方ないよ? ほらほら、教えて下さいお義兄さんって言ってみたら、教えてあげないこともないよ」
「誰が言うか!」


「で、教えたのか、お前」
「ううん。最終的には教えてあげようって思ってたんだけど、その前にアスランが出て行っちゃったから」
「…」
「教えてあげて欲しかった?」
「別に、どっちでもいい。…知られて困ることでもないだろ」
「恥ずかしいことではあるけどね」
「…うるさいっ」
「ほんと意地っ張りだよねぇ、2人とも。おにーちゃんは心配だ」
「誰がおにーちゃんだ、誰が! お前みたいな頼りない奴を兄なんて認めるか!」


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 さてカガリはどんなことを言ったのでしょう?

 って、種の話を書いたのって一体どれくらいぶりなんだろう…!? 怖…!
 男装女装パーティは言葉通りです。私が書くよりも絵師さんのイラストを拝みたい。
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