小話帳
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基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。
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コンビニラメントでシキアキネタ(Lamento・咎狗/シキアキ)
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preciously treasure 2(PT・セイバーと綾香)
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夕暮れを歩く。(PT・セイバーと綾香)
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preciously treasure(PT・セイバーと綾香)
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アリスとオーランド(パンプキン・シザーズ)
2006/11/29 ◆
その他・漫画
小さい体に大きい心。
大きい体に小さい心。
どちらも不完全な存在で、どちらも足りないものばかり。
だけどふたりが一緒なら。
きっと出来ることは増えるはず。
「お前も学習しないねぇ…」
「は、はぁ…」
いつもの病院、いつもの病室。
とある任務で暴徒と化した民衆に襲われ、アリスを庇ってオーランドが怪我をし、入院先で散々説教。
とっくにアリスは怒りを撒き散らしながら退散しており、残されたのは項垂れたオーランドと置いてけぼりにされたオレルドとマーチスだ。
これもまた、いつものことだった。
「少尉を守りたいってーのは分かるけどな、もうちょっと手段を選べよ、手段を。少尉が怒るのも当たり前だぞ」
「はぁ…でも考えてたら間に合いませんでしたし…」
「そうじゃなくて。少尉を助けて伍長が犠牲になるような助け方じゃなくて、少尉を助けて伍長も無事になるように努力しろってこと。今はまだ入院程度ですんでるけど、下手すれば一生歩けなくなるとかもあるんだから」
オーランドの助け方は、とにかく自分の体に頓着しない。アリスが無事なら自分はどうなっても問題ない、そういう助け方をする。
今回の入院だってそうだった。
鍬で襲ってきた暴徒、その先にいたアリス。
手を引くだけで良かった。オーランドの力なら一息にアリスを安全な距離まで退避させられた。そして最悪の瞬間さえ逃れれば、あとはアリスは自分で対処できる。
だが、オーランドはアリスの手を引いただけでなく、自分の体をアリスと暴徒の間に滑り込ませた。
…結果、背中に大きな裂傷を得た。
凶器は手入れされた刃物ではなく、野良仕事の汚れが付いたままの鍬。荒い傷口は治り難く、汚れは炎症を引き起こした。
そして場所は背中。もし脊髄を傷付けていたら下半身不随もおかしくない。
マーチスの忠告はもっともなもので、アリスの怒りも当然だ。アリスは守られるを良しとする性格ではないのだから。
とっくにアリスの性格もわかっているだろうに、それでもオーランドは同じ事を繰り返す。
「でも…」
「でも、何だよ。何か理由でもあんのか?」
あるなら言ってみやがれ、と先を促したのを、オレルドは盛大に後悔する事になる。
「少尉は…きれいだから…。ちょっとでも傷が残ったら大変じゃないですか」
「…」
「…」
沈黙が病室を支配した。それを作り出したオーランドは全くの無自覚。呑気に急に黙った二人を不思議がった。
かなりの時間を回復に要した後、オレルドとマーチスは同時に大きく大きく息を吐いたのだった。
「お前なぁ…。そーゆーことは少尉本人に言え」
「は? …あ!? ちちちち、違います! いえそのそういう意味じゃなくて! 少尉はおれみたいに全身傷だらけじゃないから、その…!」
「そーゆー意味でもこーゆー意味でも一緒だっての。行くぞマーチス。つまんねぇもの聞いちまった」
「…そうだね。じゃあお大事に、伍長。僕もそういうことは少尉に直接言った方がいいと思うよ」
「いえその、だから違うんです…!」
ちなみにオーランドは退院後オレルドに「ほらほら言えって、あんなセリフは少尉に直接言わなきゃ意味ねえだろ?」と盛大にからかわれることになる。
マーチスはオレルドに盛大に呆れつつも今回ばかりは助け舟を出してくれず、アリスからは「何を遊んでいる!」と怒られるという、散々な結果が待っているのだった。
=============
ハマったら即執筆とゆー自分が笑えて仕方ないです。
冒頭の詩っぽいものと小話が全く一致しません。推敲無しの一発書きな小話帳には多いことで、これもまた笑えます。
伍長と少尉はいいですねーウフフー。
5巻現在では伍長→アリスはまだ恋愛っつーより「おかあさん」の域を出てない感じでした。上記「きれいだから」発言は恋愛の好きがなくても普通にそう思ってるだろ、伍長。あいつは間違いなく天然だ。
アリス→伍長は発展途上ってとこですかね。少なくとも異性として意識はしてる、けどまだ未自覚、みたいな感じ。ドレス姿を見られて恥らうアリスはもの凄く可愛かったです。
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ハジとカイと…?(BLOOD+)
2006/09/29 ◆
その他・アニメ
(すみません未来予想図ってーか妄想です)
(某イラストサイトのお絵描きを元にしてます)
(すみません…)
(いやこんなとこ読んでないでしょうけど…)
(ディーヴァの子ども達が高校生くらいだと思ってください…)
どいつもこいつも殴り倒したいくらいムカつく。
最初は身内しか来なかった(って聞いてる。だって私達が生まれた頃だもん、覚えてる訳ないよ)OMOROも、私達が小学校に上がる位には身内以外の常連さんもたっぷりの繁盛っぷりだった。
いくら小さい店だって言ったってやっぱり満員になるとカイ1人じゃ回らなくなる。小5、6年くらいの時にはもう私達が手伝うようになった。って言っても、カイはあんまり私達がお仕事にかかりきりになるのを嫌がってたから精々休みの日とかだけだけど。カイ曰く、「子どもは外で遊んで来い」だってさ。
それで、よ。
時々うちに遊びに来てくれるハジも(…そう言えばハジって普段何してる人なんだろ? チェロがもの凄く上手いけどチェリストとかじゃないみたいだし…?)、時々手伝ってくれるんだけど。
ハジが店に出だすと途端に増えるんだよね、若い女性客…!
「すみませぇーん、注文したいんですけどぉー」
「はい」
「あー、こっちも追加お願いしまぁーす!」
「はい、少しお待ち下さい」
うわ、気持ち悪い猫なで声。無駄に流し目なんか流してるんじゃないわよ、化粧お化け!
「はい、ご注文承ります!」
私がハジの代わりに行ったら案の定化粧お化けはすっごいヤな顔した。「何この小娘、アンタなんかお呼びじゃないのよ」って感じ? ちゃっかりハジには見えない角度で私を睨んでる辺りは、根性があると言ってあげてもいい。
「あのぉ、おにいさん、こっち来てくれますぅ?」
「はい、…」
「すぐに参りますので! もうしばらくお待ち下さい!」
もう1つの方は妹が行ってくれた。2人でハジを睨む。ハジは不思議そうにしたけどちゃんと洗い場の方に入ってくれた。こーゆーのはアイコンタクトで伝わるのに、どうして化粧お化け達の企みには気付かないのかしら。
…気付かれても困るんだけどさ。
「あー、おにいさぁーん」
「ご用件なら私が承りますので!」
「…」
そんなガンくれても引き下がる私達じゃないっての! 色目使うな携帯カメラ構えるな! ハジは私達のなんだからね!
「…お前らな…」
「何、カイ!?」
ガシガシって中華なべをかき混ぜながら、カイが変な顔で声を掛けてきた。
「客にガンくれるな馬鹿。あとハジはもう奥行っていいから」
「はい? しかしまだ…」
「いいから行ってくれ…」
「…はい…?」
不承不承奥に下がってくハジと、黄色い悲鳴を上げるアマゾネス軍団。へーんだ、ざまーみろ!
「だから客に喧嘩売るなっつーの。ほれ、これ1番」
「りょーかい。でもケンカなんて売ってないもん」
「ね。買ってるだけだもんね」
「一緒だろうが」
ふんだ。カイが何言っても知らない。だってハジに色目使う方が悪いんだからね!
=================
某イラストサイトのお絵描き日記を元にした妄想です。すみません。だって萌えたんだもの…!
(言い訳にもなりゃしねぇ)
どうやらディーヴァのお子様たちはハジに懐きまくって育ったようです。恋愛感情とかじゃなくて年上のお兄ちゃんみたいな感じだと思われます。
こんな状態だとアレだ、小夜が目覚めたらどうなるんだ? ハジ争奪戦になるのか? うわ、書きたいかも(笑)
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「BLOOD+」最終話感想
2006/09/24 ◆
その他・アニメ
ありがとうございましたぁぁああ!!!
(平伏)(むしろ土下座)
まさかこう来るとは思わなかった、マジで最後の最後までハジは本音を語るとは思ってなかった!
てゆーか狂喜乱舞半分恥ずかしさ半分で吹き出した! あのチュウと「愛しています」発言は死ぬかと思った!!!
ご都合主義的な終わり方ではありましたが、それがどうしたハジ小夜万歳ー!!!
以下、細かく色々!
・「必ず帰って来て」
おおう、ジュリアさんってば健気…。
最後の最後までジュリアさんとディビッドはこの調子かなー…とがっくりしていたので、後半で嬉しかったデス(笑)
・カイがハジに発破かけてくれるとは…!
うーんと、カイが説得(?)始めた時点で、「ああ、やっぱりこういう展開か…」と半ば諦めちゃってました。
先週までの展開を見てて、カイ小夜で終わると思ってたの。だからさー、うん。先週の最後にカイが出て来た時点でもー駄目だーとね。覚悟をね、決めないと、と思ったの。うん。
なのに…!
・「お前は誰なんだよ!」
ハジにぶるけるには1番のセリフだったのかもしれない…。
・ありがとうハジ!
ずっと聞きたくて仕方なかったハジの本音…! ありがとう、ありがとう…!
てか、このハジのセリフと回想…泣いたぞちくしょー!
・ちゅうするか…!?
と思った、最初の見詰めっぷり。
でもハジは自分からはチュウしないだろーなー…と思ったら、やっぱりこめかみにチュウでした。あはは、ハジらしい(笑)
・だからその後のチュウに吃驚した。
小夜からしてくれたからハジも吹っ切れましたか?(笑)
・ていうか、冷静に考えてさー…
ハジ→小夜な伏線は沢山あったけど(てゆーかハジは小夜第一な所しか描かれてなかった…)、小夜→ハジな伏線って…あったか?
いや無いとは言わないけど…家族とももう1人の自分への憐憫とも取れる曖昧な描き方だったからさー…はっきり恋情と思わせる描写は今一感じられなくって…。
・アンシェル生きてたのか。
最初の元凶の1人で、最後の1人にもなりやがった。
ある意味根性のあるすげぇ奴。
・貴女を愛しています。
一体何年越しの告白だ。
でもちょっと残酷だな…あんな風に言われて別れてしまったらさ…。
・都合の悪いことは爆撃しちゃえ☆
いかにもアメリカらしい行動だなオイ…。
・え、小夜復学したの?
沖縄に帰ってきたことはともかく、こっちはびっくり。
・生きてたのかアルジャーノ。
しかもしょっ引かれてるし。死ぬより刑務所の方がマシだと思え?(笑)
・えー、ネイサン!?
何で生きてたのアンタ。てゆーか何してるの。ブンヤ?
ちゃんと小夜にバッサリやられたのに…でもコイツなら生きててもおかしくない、と思えるのが凄い(笑)
・うわー、ご都合主義。
全てが良い方向に行く、ってか。
まぁいいや。ご都合主義だしちょっと力技ちっくだけど、破綻はしてないし。見てて嬉しくなるご都合主義だからさ。
・おめでとうジュリアさん…!
やるじゃねぇかディビッド! 責任取って幸せにしろよ!(笑)
・あれ、カイは復学してねぇの?
案外料理も似合ってるぞ、カイ(笑)
・真央さま…!
結局岡村さんと名コンビで終わっちゃった…。
ちょっと名残惜しいです。ええ、真央→カイが大好きだったので。真央さま直球勝負が格好良かったので!
…今からでも遅くないよー、真央さまー!(笑)
・1番ハジを見ていたのって…
小夜じゃなくてカイだったんですね。
小夜はハジの存在を当たり前に思いすぎてて、尚且つ自分が追い詰められすぎてたから、ハジは自分と同じことを考えてる、って思い込んでたフシがあるよね。ハジが何を考えているのとか、ハジが本当に望んでいることとか、本当の意味で考えたことってないんじゃないかな。その辺、ちょっと我侭っつーか自分のことしか見えてなかったっつーか。
カイは小夜が大切だったからこそ、小夜の傍にいるべき存在のハジを気にかけてたんだなぁ。最初は反感だったんだろうけど。カイって小夜に関してはハジと殆ど同じ立場だしな。ハジを焚きつけられるのはカイしかいなかったもんな…。
・「私の始まりの場所に…」
何処だよ? と本気で首を傾げました(笑)
・「だから、お休み。小夜」
ハジがギリギリになってから迎えに来るのかな、とありがちな展開を予想した板のですが、それはなかったですね。ふむ。
まぁ、でもこれはこれで良かったな、と思います。
カイは小夜を女の子として好きだったのかもしれません…と言うか、好きだったのだと思います。でも小夜がカイに求めているのは家族だということを分かっていたから、それを口にすることはしなかったのだろう、と思います。
ハジを焚き付けたのだって、ハジは小夜の全てを受け入れることが出来るのだから、だからこそその上で小夜を抱き締めてやるべきだって考えたから…じゃないかな。
自分は小夜の居場所を提供できる、けど、それだけだから、と。
…ま、後付の考察ですけどね(笑)
・ラストは「語り継ぐこと」
意味深だなぁ、これ。
これまでの歩んできた悲しみと喜びを全て明日に「語り継ぐこと」。そして歌が「最初に返った」ように、小夜とハジが動物園にいた頃の2人に「帰る」と言う意味でもあるんでしょう。
・おおお、お父さん!?
ディーヴァの子ども達ってのは分かるんですか! しっかりお父さんやってるのかカイ!
ちくしょう案外家庭的な奴め!(笑)
・おおおおお、ハジ!!!
だよな、あの薔薇は! そうじゃなきゃ怒るぞ!? てゆーか他なんか考えられねぇっての!(笑)
眠ってる間に沖縄に帰ってきたのか、ハジ。目覚めの時は小夜を迎えてあげてくれ。
・「それおばちゃんのだ」
おばちゃん…(笑) 小夜はおばちゃんか…!(笑)
そりゃ確かに小夜の姪だけど! あーっはっはっは!(笑)
えーと、戸籍上(…戸籍?)は、カイの子ども達、ということにしてるのかな。で、小夜はカイの妹だからおばちゃん、と。
本当は色々突っ込むべき所もあるけど何かもうこの最終話のハジ小夜で全て報われたっつーかハジが幸せになってくれてそれだけでお腹いっぱいっつーか、こんなに晴れ晴れしく観れたアニメの最終話ってホント久しぶり。
最後にもう一度。
ありがとうございましたぁぁああ!!!
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あかいさかな。(凛とアーチャー)
2006/09/01 ◆
Fate(型月)
「…あ」
ぱしゃり。僅かな綻びが決定的なものになる。5匹目の獲物になる筈だった出目金は悠々と己の住処に逃げ込んだ。
「やぶれちゃった…」
「残念だったなァ、嬢ちゃん。でも4匹も取れりゃ大したもんだろ」
「そうね」
もう1回やるかい?と言う親父の声を遮り、少女は器の中で狭そうに泳ぐ4匹の金魚を広い住処に放した。
「おいおい、嬢ちゃん」
「いいのよ。持って帰っても仕方ないもの」
でもなぁ、と食い下がる親父を少女はあっさりと無視した。
すっと立ち上がって浴衣の裾を払う。珍しく結い上げた髪が前に落ちてきた。見目麗しい少女が髪を払う仕草はどうしてこんなにも絵になるのか。金魚すくいの親父を始めとする周囲の男達は、皆一斉に少女に見惚れた。
そして一瞬の後に全員落胆した。
「さ、行きましょ。待たせちゃったわね」
「いいや。なかなか楽しかった」
男連れかよ…と、皆の心は一致していた。悔しいことに少女と釣り合うだけの男だった。
風貌からして日本人ではないだろう。浅黒い肌に男物の浴衣が奇妙にも似合っている。美青年と言う顔立ちではないが、精悍で落ち着いた容姿が少女と釣り合うだけの貫禄をかもし出していた。
周囲の男共の落胆などよそに、2人は歩を進めていく。
「何がよ?」
「金魚相手に本気になっている君がな」
「な」
にやりという擬音がぴったりの皮肉めいた微笑。少女は咄嗟に怒鳴り返そうとして、しかし周囲の目を感じて押さえ込んだ。
「――ふん。私は何にでも手を抜かないの」
「そのようだな。鬼気迫る様も絵になっていた」
「な、誰が鬼よっ!」
「おや、何か気に障ったかね? 私は真剣な表情の君も綺麗だと言ったつもりなのだが」
「――!」
少女は慌てて顔を逸らした。赤くなった頬は、怒りからのものではあるまい。
「…そんなの当たり前じゃない。美人は何をしても美人なんだからね」
「そのようだな」
くつくつ、と男が笑う。少女はそれを苦々しく睨み上げたが、その程度で堪える男ではなかった。
やがて少女は、足を速めて先行し始める。
「凛」
「ほらっ、行くわよ! トロトロしてたら花火が始まっちゃうじゃない!」
小柄な体で大きな態度。
男はもう一度くつりと喉を鳴らした。
「アーチャー!」
「ああ、分かっている。では急ごうか」
さあ、と差し出された手は、躊躇いがちに、しかし大切に繋がれた。
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屋台と王様。(セイバーとその他。)
2006/09/01 ◆
Fate(型月)
「なぁ、桜…。俺、セイバーを甘く見てたんだな…」
「そんな…先輩のせいじゃないです。私だって一緒なんですから…」
「うん…そう言って貰えると助かるよ。
…ちゃんと対策は立てたつもりだったんだ…。小遣いはちゃんと額を決めて渡してるし、今日の夕飯は失敗したフリして多めに作って多めによそった。さすがにセイバーもお腹いっぱいでちょっと苦しそうだった。だから大丈夫って思ったんだ、大丈夫だって…! なのに…!」
「先輩…! そんなに自分を責めないで下さい! 先輩に落ち度はありません、セイバーさんがわたし達の予想をはるかに上回ってただけなんです…!」
「ああ…そうだな、桜…。まさか…まさかセイバーが…本気で屋台の食い物を全部制覇するなんて…!」
必要以上にシリアスになっている衛宮家台所担当2名をよそに、セイバーは幸せいっぱいでイカ焼きを頬張っていた。
回転焼きにフランクフルト、りんご飴、焼きとうもろこし、カキ氷。天津甘栗やちんちん焼きなどのその場で食べにくい物は自分へのお土産にして。
これだけの物を買い占めようとすると、かなりの金銭が必要だったはずだ。居候の身で自由に出来る金が少ないセイバーは知恵でそれを補った。
作戦その1、士郎に奢らせる。
「シロウ、あれは何ですか? 煎餅の上にキャベツを乗せている…?」
「ああ、広島焼きみたいだな。本当の広島焼きはエビせんの上に乗せたりしないんだけど、やっぱ持ち歩きやすいようにしてるんだろうな」
「ほほう、広島焼きと言うのですか…」
「…」
「…」(キラキラと目を輝かせて士郎を見詰める)
「…」(じっと耐えている)
「…」(キラキラと期待して士郎を見詰めている)
「…。
……………食べるか、セイバー?」(負け)
「ええ! 是非に!」
作戦その2、ライダーに奢らせる。
「おや、ふわふわと綺麗なものですね。綿菓子と言うのですか、確かに綿のようだ」
「…それがどうかしましたか、セイバー」
「いいえ別に。そう言えばライダー。先日シロウの部屋で奇妙な痕跡を見つけたのですが」
「!?」
「大したことではないだろうとわたしの胸の内に止めていますが…シロウ、いえサクラに相談した方がいいでしょうか?」
「………………セイバー。綿菓子を食べてみませんか? とても美味しいそうですよ」
「おや、いいのですか? ありがとうございます。では遠慮なくいただきましょう」
作戦その3、凛に奢らせる。
「いちご飴、とは…そのまま苺をコーティングしているのですか?」
「? ええ、そうみたいね。ふぅん、実物を見たのは初めてだけど、随分可愛いのね」
「ええ、わたしもそう思います。とても可愛らしい」
「…ね、セイバー。食べてみる?」
「え!? 良いのですか!?」
「ま、1個くらいならね。それにセイバーがいちご飴を食べてる所って可愛いだろうから見てみたいし」
「ありがとうございます、リン…!」
作戦その4、タダで貰う。
「おう、嬢ちゃん外人さんかい? 縁日は初めてか?」
「はい、初めてです。縁日とは楽しいものですね」
「そーだろそーだろ。俺ンとこのチョコバナナを食ったらもっと楽しくなるぜ? 1つどーだい?」
「…」
「ん? どーした嬢ちゃん」
「それが…食べてみたいのは山々なのですが、手持ちが無くなってしまったのです。私の不注意で…」
「…! 落としちまったのか? そいつは可愛そうだなァ…。せっかく外国から遊びに来たってのによォ…。
…よし!それじゃあ仕方ねぇな、1個嬢ちゃんにくれてやらぁ!」
「はい? し、しかしこれは売り物では…」
「いいってことよォ。遠慮なく持っていきな、ホラ!」
「…! ありがとうございます…!」
「うんうん、いい笑顔だ。やっぱ可愛い女の子は笑ってねぇとな!」
ちなみに作戦その1、2は確信犯、その3、4は偶然である。しかし最後の方になるとその4も確信してやっていたフシがある。金髪美少女がしゅんとしていたら放っておけないのが屋台の親父と言うものだ。
その場で消化できる物はその場で食べ尽くし、今は帰宅した衛宮家居間で持ち帰り分をひたすら食べ続けている。げに恐ろしきセイバーの胃袋。
「今度は…今度こそは、こんなことにならないようにしないと…!」
「ファイトです先輩…! わたしも精一杯お手伝いします…!」
「ああ…!」
何だか妙な方向に盛り上がっている2人をよそに、セイバーはひたすら幸せをかみ締めるのだった。
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