小話帳

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 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  迷惑な客(桂と幾松)
2009/03/25 ◆ 銀魂
 あたしの店はラーメン屋にしては遅い時間まで営業している。夜の街歌舞伎町に近い立地にあるから、軽く一杯やった後にラーメン食って帰ろうと言う客が少なからずいるからだ。客足が途絶えるのは大体23時過ぎ。この時間を過ぎてもまだ歌舞伎町にいる人間はもう翌朝を迎えるまで帰らない。
 この夜も22時を過ぎた頃から客が少なくなっていた。いつも通りのことで、そろそろ店を閉めようか、という時間になった時、からり、と馴染みの客がやって来た。

「邪魔をする。まだ開いているな?」
「もう閉めようと思った時だよ。まったくアンタはいつも嫌なタイミングで来るね」

 最初に拾った時は1人だったのだけど、次に来た時からは得体の知れない何かと一緒に来るようになった。今夜はこれが最後の客だね、と、先に暖簾を片付ける。その間に客はいつもの席についていた。

「そばを1つ頼む」
「またかい? ラーメン屋に来ていつも食べるのがそばっておかしいだろアンタ。エリザベスを見習いなよ」

 子供が書いた幽霊のような姿をしたこの同行者はプラカードに「みそラーメン一丁」と書いて意思表示をしていた。いつものことだけど一体いつプラカードに文字を書いてるのか全然見えない。気が付いたら新しいのが書かれてる。まったく得体が知れない生物だけど、とりあえず毎回ラーメンを頼んでくるから許してやることにしている。

「エリザベス、ここがラーメン屋だからと言って気を遣うことはない。食べたいものを食べていいのだぞ」
「ケンカ売ってるなら高く買ってやるよ」

 先にみそラーメンを作って出してやった。エリザベスはどんぶりごと口に放り込んで、しばらくもしゃもしゃって変な音がした後に空になったどんぶりが返却される。…ほんと、どうやって食べてるんだろうね、これ。
 あたしの本職はラーメン屋だけど、それでも店に出す以上はいいそばを出すって決めてる。今日も固すぎずのびすぎずのいい塩梅できちんと茹でた。しばらくの間そばをすする音だけがしていて、あたしはその間に明日の仕込を始めさせてもらった。

「…馳走になった。うむ、以前よりも美味くなっているな」
「そりゃどうも。たまにはラーメンの方を食べて欲しいものだけどね」
「仕方あるまい。俺の好物はそばだ」
「だからここはラーメン屋だっつってんでしょうが」

 初対面からずっとこうなんだもの。失礼極まりないね、ホント。
 食べ終わったからにはさっさと器を下げさせてもらう。最初にそばを出した時はあーだこーだと文句を付けられたものだけど、最近はやっと美味いって言わせられるようになった。当然だわね、それだけの修行は積んでるもの。

「勘定置いておくぞ」
「はいよ」

 食べ終わった後は茶で一服。それだけでこの客は帰っていく。毎度毎度大した世間話をするわけでもない。だけど毎度毎度、帰り際に一言。

「…また来る」



 その言葉と次回の訪問が楽しみになってるって自覚するまで、そんなに時間はかからなかった。


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 アニメで幾松さんの回を見たので記念に。
 桂×幾松もいいね! おいしいね!
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  おいしいごはんのつくりかた。(凛とアーチャー)
2009/03/24 ◆ Fate(型月)

「アーチャー」
「何かね、凛」
「ちょっとお願いがあるのよ」
「君からのお願い、か? 恐ろしいな。何を言い付けられることやら」
「何よ、失礼ね。人を暴君みたいに」
「自覚がなかったのか?」
「…ふん。はい、これ」
「…何だ、これは?」
「見て分からない?」
「秋刀魚のように見えるが、これを私に渡してどうしろと?」
「秋刀魚で占えなんて馬鹿なこと言うと思うの?」
「…生憎だが私は秋刀魚占いなど存在も聞いたことがない」
「そうね。私もよ」
「つまり、これを私に料理しろと?」
「そうよ。ああ良かった、ちゃんと意志疎通は出来ているのね。秋刀魚占いなんて言いだしたから今度は思考回路がおかしくなったのかと思ったわ」
「占いなどと最初に口にしたのは君の方だがね。それはともかくとして、何故私が料理などをせねばならん? 君は充分に自分で自分の世話くらいできように」
「あのね、アーチャー。私、和食って苦手なの」
「だからどうした? 苦手ならば克服すればよかろう。他の料理は出来るのだから練習さえ詰めば何とかなるのではないか?」
「正論ね。でも、その秋刀魚はとてもいい秋刀魚なの。魚屋さんのお薦めよ。折角いい魚なんだから、ちゃんとおいしく食べたいじゃない?」
「…なるほど? それで、私に任せてしまおうと?」
「そうよ。そういう訳だから、よろしくね。魚焼き器はちゃんとあるから」
「怠慢だな。そんなことをしていたらいつまでたっても上達などせんぞ」
「餅は餅屋って諺を知ってる? 私、素材は無駄にしたくないの。下手に素人が手を出すよりもプロに任せた方が確実でしょ」
「私は君のサーヴァントであって、専属の料理人になった覚えはないのだがね」
「あら、じゃあお願いから命令に格上げしましょうか? 絶対服従の命令は今も有効なんでしょう?」
「…。もはや呪いの域だな。了解した、マスター。非常に不本意ではあるが命令を遂行させてもらおう」
「ええ、よろしくね。有能なサーヴァントで本当に嬉しいわ」


   ==========

 秋刀魚占いは聞いたことがないですが、いわし占いなら見たことがあります。漫画の中ですが。
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  太陽と月のワルツ(種/カガリとイザーク)
2009/03/23 ◆ 種・デス種
 イザーク・ジュールは至極不機嫌だった。
 最近は感情を抑えることも少しは覚えたが、元が元だけに隠しきれているとは言い難い。もっともこの時はこれっぽっちも隠すつもりもなかったのだが。

(馬鹿馬鹿しい…)

 優雅に微笑む紳士淑女にも軽やかに流れるワルツにも、イザークは何の価値も見出せない。退屈としか言いようのない空間に身を置くのは酷く苦痛だ。今すぐこの場を辞したい気持ちは時間と共に肥大化するが、しかしこのレセプションの最後に待っていることのせいで帰ることも出来ない。
 苛々と舌打ちをして、イザークは視線を動かした。一緒に来ていたはずの金髪の友人は意中の少女を見つけるなりさっさと行ってしまった。せめて奴がいれば防波堤になるものを、と苦々しにまかせて手にしていたドリンクを飲み干した。
 ちらりと見渡すだけでも、少なくとも2、3人の女性がイザークの様子を伺っていた。どうにかして話しかけようと画策しているのが見え見えだ。イザークは未だ消さないままの顔の傷を差し引いても十二分におつりが来るほどの美青年だ。更に軍内で体調を任命されているエースパイロットでもある。年頃の女性に放っておけと言う方が無理な話だった。しかしそれはイザークにとっては迷惑なだけの話だ。

(ええい、鬱陶しい!)

 ぎっと強く睨みあげても、きゃぁ、と一時騒ぐだけで終わってしまう。自分が睨まれているとは思わないのだ。遠巻きにきゃあきゃあわめき、隙を見せればわらわらと寄って来る…まるでハイエナだなと、イザークは着飾った少女たちに対してかなり酷い感想を抱いた。
 せめて誰か話し相手でもいれば気も紛らわせるのだがと、イザークは知り合いの姿を探す。残念ながら見渡せる範囲にはいなかったが、イザークは自分に向かって来る人物を見つけた。
 イザークの顔見知りではないが、知っている人物だった。

 カガリ・ユラ・アスハ。

 オーブの獅子の一人娘で、現在はオーブ復興と戦後処理に奔走している。エメラルドグリーンを基調にしたイブニングドレスが彼女の明るい金髪によく映えていた。イザークは知る由もないが、かつての野戦服を身に付けていた頃の少年臭さは姿を消しつつあり、誰もが息を呑む淑女へと成長する過渡期に差し掛かっている。

(…何だ?)

 何故その彼女がわき目も振らず自分の方へやって来ているのかイザークには分からなかった。最初は気のせいかと思ったが、間違いなく彼女はイザークを見ている。正面から何も怯むものなどないとでも言うような目で、一体自分に何の用があるというのか。
 イザークの聞いていた評判からすると、彼を遠巻きにしている女性達と同じ目的とは思えず、第一彼女はイザークの年下の友人との関係がほとんど公式にされているではないか。

「失礼する。お前がイザーク・ジュールか?」
「…そうですが。何か」

 カガリは政治仕様ではない彼女そのものの態度でイザークに話しかけた。外面仕様の言葉遣いを取り繕う気はないらしい。勿論イザークは虚偽ばかりの外面より本音で言い合った方が楽な性格だが、当のカガリはそれを意識した訳でもないようだった。仮にも一国の代表相手だからとイザークは敬語にしたのだが、カガリの方から敬語はいらない、とはねられる。

「デュエルのパイロットだな? 私は…」
「知っている。オーブのカガリ・ユラ・アスハだろう。俺に何の用だ」

 今や世界に名を知られている有名人であり、イザークの友人の思い人でもある彼女だが、イザーク自身には面識がなかった。いずれ友人経由で会うこともあるかもしれないと思ったことがある、その程度だ。イザークには彼女から話しかけられる理由も目的も全く心当たりがない。
 だから続いた彼女の言葉には驚く以外の何もなかった。

「例を言いに来た。お前に助けられたから」


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 種終了後〜デス種製作の発表前に書いた物が発掘されました。だからデス種の設定とは若干矛盾してる箇所もあります。
 カガリとイザークっていいケンカ友達になるんじゃなかろーか、と思って書き始めたブツなんですが、案の定途中で止まってました。毎度毎度オチなくてすみません。

 タイトルは語呂だけで決めました。カガリ=太陽はともかく、イザーク=月っておかしいだろ自分。
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  未来予想図(リボーン/ツナと獄寺と山本)
2009/03/22 ◆ リボーン
 高校受験の季節がやって来ました。


「うーん…」

 唸る綱吉の目の前で真っ白な進路希望調査票が「さぁ書け」と無言の圧力を放っている。
 進路希望。中学卒業後は高校への進学が大半な現在、綱吉たちの通う並盛中学でも9割以上の生徒が進学希望だと言う。かく言う綱吉も進学するつもりなのだが…

「十代目ー、何睨んでんすか?」
「あ、獄寺くん、山本」

 この2人が連れ立って来るのって珍しいよなー。あ、でも最近は獄寺くん、前ほど山本に突っかからなくなったかな、と、小さな変化を嬉しく思う。しかしすぐにいやいや今の問題はそこじゃなくて、と頭を振った。

「進路希望調査票?」
「うん。どーしよっかなって思って」

 覗きこんできた山本に答えつつ、溜息一つ。憂鬱な綱吉とは対照的に獄寺は至極明るい。

「十代目の将来は決まってますって。何たって十代目は由緒正しいボンゴ」
「あーあーうんまあそうなんだけどさ!」

 昼休みの教室でボンゴレとかマフィアとか叫ぶのは止めてほしい。大声で無理矢理遮って、更に溜息一つ。
 将来は決まっている。確かにその通りではある。散々悪あがきをしていたけれど、今の綱吉はボンゴレを継ぐことに抵抗はない。もっとも、ボンゴレをより発展させる為ではなく、ぶっ潰す為の手段の一つとして、だが。

「それはそうとして、やっぱり高校には行かないとさ。…母さんに心配かけるし」
「…!」

 ボンゴレの門外顧問の妻にして次期ボスの母と言う立場ながら、綱吉の母・奈々はマフィアのことを一切知らされていない。…うっすら感付かれてるんじゃないかなーと綱吉は思うこともあるが、少なくとも面と向かって話したことはなかった。
 なのでボンゴレはさておき、普通の学生らしく高校くらいは行こう、と綱吉は考えているのだが、綱吉の成績では、行ける高校が限られる訳で。補習仲間の山本はともかく、問題は『十代目…! なんてお母さま思いな…!』と感激している獄寺だった。

「…獄寺くんはどーするの?」
「オレっすか? オレは勿論、十代目のお傍に」
「えー…? でも、獄寺くんは頭いいんだし、オレに合わせたらすごい偏差値低い学校になるよ?」

 四六時中一緒にいるのにいつ勉強してるんだろう、と常々疑問に思うほど、獄寺の成績は優秀だ。自分の成績に見合った高校に進学するなら、綱吉と獄寺はかけ離れた偏差値の高校に通うことになるのだが。
 無論、十代目第一!の獄寺がそんなことを了承するはずがなかった。

「十代目…!」
「え、何?」
「お、オレはお邪魔になってしまったんですか!?」
「え? 邪魔? 何それ」
「お気に障るところがあるなら言ってください、絶対になおしますから! だから十代目、オレをお傍に!」
「いや違くて! ちょ、獄寺くん、何か勘違いしてない!?」


 結局その昼休みは誤解を解くのに費やされ、未だ綱吉の進路希望調査票は白紙のままである。


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 奈々ママはマフィアのことも感付いてるけど、自分には気付かれたくないって思ってるみたいだし話す必要が出来たら話してくれるわよね、と夫と息子を信頼して黙っててくれてるんじゃないかなーと思います。
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  家事とツッコミとアイドルオタクしか能のないメガネもたまには役に立つ。(銀魂/万事屋)
2009/03/21 ◆ 銀魂
 指先足先の動きが鈍い。息を吸うたびに鼻の奥が痛い。露出した部分に鳥肌が立っている。乾燥した唇が今にも切れそうだ。顔の筋肉が引きつってる。少しでも熱を発生させようと体が小刻みに震えてる。
 つまり集約すると、寒いの一言に尽きる。


「寒いアル」
「寒いですね」
「寒い寒い言うなお前ら、新党滅却すれば火もまた凉しだ。ほら窓の外を見ろ新八、神楽。今日も元気に怪しい政治団体が怪しい演説してるぞ」
「怪しい政治団体の怪しい演説と僕たちが寒いのと何の関係があるんですか。しかも今「新党」って言いましたよね。新しい党でしたよね。新しい党を滅却してどうして火が涼しくなるんです」
「新しい党なんて血気盛んでウザいだけネ、滅却した方が世の為人の為ヨ」
「その通りだ神楽。よし、滅却しに行こう」
「そうアルな。ちょっとは体が温まるかもしれないネ」
「待たんかお前らァァァ! 要するにアレか、俺たちは暖房器具のない寒い部屋の中で震えてるのに何で外では怪しい政治団体があんなに元気に走り回ってるんだって理不尽にムカついただけかオイィィィ!!」
「新八、世の中何でもかんでも正直に言葉にしたらいいってもんじゃないんだぞ」
「そうヨ、外面は優しく、心は般若。これが上手く世の中を渡るコツね」
「あんたら外面が成功したためしがないだろうが! いつも心が般若になったら速攻で般若になって殴りこみに行ってるだろうがよ!」
「あーもー新八、お前って本当にアレだな。小姑の素質たっぷりだな」
「将来志村家に嫁ぐ嫁さんは大変ネ。『あらやだ嫁子さん、こんなに埃が。ちゃんと掃除してるの?』」
「『いやだ、何この味。志村家伝来の味噌汁はこんな味じゃないわ。嫁子さんってばいつまでたってもこんな簡単な料理も覚えられないんだから』」
「何で僕が小姑にならないといけないんですか! 志村家に嫁いでくるってことは僕のお嫁さんでしょ!? 僕の将来の妻でしょ!?」
「新八にお嫁さんが来るよりお妙に嫁が来る方が早いんじゃね?」
「ありうるね。姐御下手な男より漢前よ」
「ありえないから! 姉上にお嫁さんが来るなんてありえないから! 姉上は嫁ぐ方なの!」
「お妙が嫁ぐなんてことになったら凄いんだろーなー。重箱の隅を顕微鏡で観察するレベルで相手の男の粗探しまくるんだぜ、きっと」
「ちょっとでもヘマしたらアレよ、『あらやだお義兄さん、こんなに埃が。ちゃんと掃除してるの?』」
「小姑の時と同じこと言ってんじゃねぇお前らァァァ!! いい加減黙らねぇと外に放りだすぞコルァァァ!!!」
「よし、神楽。新八が騒ぎまくったおかげでちょっとは室内温度が上がったような気がするぞ」
「本当ネ。家事とツッコミとアイドルオタクしか能のないメガネもたまには役に立って良かったヨ」
「家事とツッコミとアイドルオタクしか能のないメガネって何!? 僕が家事しないとすぐ腐海の森にするだらけ虫2匹の分際で何様!?」
「あーもう黙っていいぞ新八ー。これ以上騒がれると今度はお前を滅却したくなりそうだ」
「いつの間にか外の新党いなくなってるネ。ちっ」
「ちって何! 今度は僕って何なの!? 本当に滅却するつもりなのかよあんたら酷すぎだよ!」


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 オチなし。
 つーかオチが作れない。
 タイトルは「銀魂風のタイトルを作ろうとして失敗しました」といういい見本。
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