小話帳

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 基本的に書きなぐったブツの収納場所。オチのない話も有り。
 Fate(原作が18禁)とエロっちぃ話はネタバレ機能で隠してます。

  SAMURAI DRIVE(銀魂/銀時と土方)
2009/03/20 ◆ 銀魂
 果たしてそれは何度目の対峙だったか。
 初めて刀を交えたのが修理中の屋根の上と言うのは若干情けない話だが、それもこの男を考えればそうおかしくない状況と言える。あの時は総悟の刀を渡した真剣勝負だったが、それ以来、この銀髪の男と真剣を交えたことはなかった。
 今日も今日とて男が構えるのは「洞爺湖」とふざけた銘を彫った木刀だ。無論木刀でも人を殺せることくらい、土方には百も承知だ。真剣よりも軽い分打ち込みの速さだけを見れば木刀の方が勝る場合すらある。だがそれでもあくまで木刀は木刀、人を斬ることに特化した刀と比べれば、殺傷力は明らかに劣る。
 対峙する度に刀を渡し、対等の立場で斬りあおうとした。しかし男は己の木刀がない場合以外は決して刀を取ろうとしなかった。攘夷戦争で俺が一生で斬る分はとっくに斬っちまったんだよ。いつだったか男は安っぽい板チョコを齧りながらそう言った。


「いい加減斬られろよ、万事屋」
「おーおー怖いねぇ。瞳孔開いてるぜ、鬼の副長どの。眼科行った方がいいんじゃないの?」
「土方さんが瞳孔開いてるのはいつものことですぜ、万事屋の旦那。さっさとそのまま死んじまえばいいのに」
「だよなぁ。瞳孔開いてたら普通の人間は死んでるよなぁ」
「総悟てめぇ横から茶々入れてんじゃねぇぇぇぇ!」


 おーこわ、と沖田は走って行ったが、決して土方の邪魔をしない為、ではなかった。沖田の獲物の姿を見つけたからそっちに向かっただけに過ぎない。そうでなければその場に留まって土方をおちょくり続けたことだろう。
 既に土方は抜刀し、銀時も木刀を構えている状況であるというのに、それでも銀時はだらけた空気を捨てようとはしなかった。


「あのさぁ、もっと平和な勝負方法にしない? チョコレートパフェ大食い選手権とかいちご牛乳一気飲み選手権とか」
「何で俺がチョコパフェなんぞ大食いしねぇといけねぇんだよ。せめてマヨネーズ掛けご飯にしろ」
「いやマヨネーズ掛けご飯っておかしいから。ご飯に掛けていいのはご飯ですよとお茶漬けの素とふりかけだけだから」
「ばっか野郎、ご飯に掛ける物でマヨネーズ以上に美味い物なんざこの世に存在しねぇんだよ」
「あーもーこれだからマヨネーズ教の信者はヤなんだよなぁ。もっと糖分を摂取しろよ糖分を。甘い物を美味いと思えなくなったら人間終了だぜ?」
「お前は糖分を摂取しすぎて人間終了してるじゃねーか。今ここで人生も終了させてやるよ」


 ちゃき。土方が柄を握りなおすのにつられて鍔が音を立てる。その音に感化された訳でもないだろうに、銀時は纏う空気の色を変えた。木刀を握る力は弱く、それでいていつでも打ち合えるよう整えている。
 土方の切れ長の目がいっそう細く、目前の好敵手を見据えた。


「攘夷志士どもに組みしたかと思えば幕臣を守ったり、公式行事に殴りこみかけたかと思えば春雨相手にドンパチしたりと、お前は一体何がしたいんだ? お前の魂は何を守る為にある?」
「魂なんてご大層なもん、俺は何も持っちゃいねーよ。その時その時で俺のしたいことをして、俺の守りたいものを守ってるだけさ」


 いい加減極まりないと取られても仕方のない発言だが、この男にとってはそれこそが真実なのだろう。土方達真選組のように大将を抱き大義を守ることはなく、己が己の腕で守るべきものをただ守るのみだと。

 己のみで守れるものなど高が知れているからこそ、己のみで守るべきものは絶対に守り抜くのだと。

 くつ、と土方は喉を鳴らす。
 何度刀を交えても決着は着かず、土方が勝負を望んでものらりくらりと逃げられる。おそらく今回も数度打ち合った後は逃げられてしまうのだろう。この男には土方と打ち合うよりも大切なことがある。
 それでも、今この時を逃す訳にはいかなかった。銀時が如何なる事情でこの場にいるのかは関係ない。土方は幕敵を誅する真選組の副長であり、純粋に強敵との勝負を欲する侍であった。


「そうかよ。だったら守り抜いてみせろよ、万事屋。この俺の剣からもな」
「言われるまでもねぇ。俺はとっとと帰って結野アナのお天気ニュースを見ないといけねぇんだ」


 いざ。



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 自分で書いておいてなんですが、チョコパフェ大食いもいちご牛乳一気飲みもマヨネーズご飯選手権も、どれも見てみたいという気すら湧きません。
 ちなみに「沖田の獲物」は神楽ちゃんです。この2人も好きさ。
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  1/3の純情な感情・6(リボーン/ツナと獄寺)
2009/03/19 ◆ リボーン
 5から直接6に続く予定でしたが、続きませんでした。
 5とは同シリーズ内の別の話です。



 ある意味では最高に幸せな状況だった。
 獄寺の目の前には心から敬愛し絶対の忠誠を誓った沢田綱吉。その2人の間の距離は30センチもない。後ろに押し倒されたそのまま、獄寺の視界には綱吉の姿しか映っていなかった。綱吉以外の何も映っていなかった。

「あのさ」
「はい」

 言葉に合わせて綱吉は体を更に獄寺に寄せた。30センチ弱だった距離は20センチ弱になる。もう吐息が掛かる距離だ。日本人にしては色素の薄い茶色の目に獄寺の顔が映っていた。獄寺にはそれすらも喜ばしい。

「オレが今君を襲っても抵抗しないの?」
「はぁ、十代目がお望みなのでしたら」

 襲うってどういう意味だろう、程度にしか獄寺は思わなかった。

「…やらないよ。それじゃ意味ないし」
「意味って何の意味っすか?」

 殴られるのか、抱かれるのか。どっちにしろ自分は一切抵抗しないという確信が、獄寺にはあった。そしてそれ以上に、十代目はそんなことはしないという確信があった。
 もし本当にオレを無理矢理殴ったりヤッたりしたら、十代目は絶対にご自分を責める。たとえオレが原因を作ったのだとしても、オレ以上にご自分を責める。
 そう言う意味では、確かに抵抗するべきなのかもしれない、と獄寺は思う。自分の為ではなく、綱吉が自分を責めることにならない為に。

「何の意味だろうね。…いい加減分かって欲しいけど」
「…?」

 ごめんね、と一言、綱吉は獄寺の上から体を起こした。
 どこか寂しそうな笑顔の意味が獄寺には分からず、綱吉のことで分からないことがあるのが口惜しく、しかし意味を問いても答えてくれないことだけ分かってしまった。
 「分からない」ということだけ分かってしまうのが、余計に獄寺には口惜しかった。


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 6って言うより「1+α」って感じです。主軸が1と同じ。
 1では獄寺が押し倒してたから、逆にツナに押し倒させてみました。
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  cry for the moon(リボーン/ツナと獄寺)
2009/03/18 ◆ リボーン
 獄寺女体化で生理ネタ。
 苦手な人もいるだろうから隠します。


 目が覚めたら誰もいなくなってた。

「…」

 痛みは薬で抑えられるけど、腰のダルさはどうしたっておさまらない。腹を温めたらマシになるっつったのは誰だったか。十代目のお母さまだったか。ハルだったかもしれない。
 覚えのない膝掛けが下腹に掛けられてた。寝てる間にかけられたのか、寝る前に掛けられたのか。薬を飲んでからの記憶が曖昧だ。情けない。

「…1時間も寝てたのか」

 まだ寝ていたいと体は叫んでいるが無視した。テーブルの上に魔法瓶とメモを見つける。ハルの字だ。

『あったかいカフェオレ作っておきました。あたたまりますよ!』

 相変わらず女女した丸っこい字だ。ハルが入れたからには相当甘ったるいカフェオレなんだろう。甘いのは苦手だが、今は素直に好意に甘えることにした。
 喉を伝って体内へ熱が伝わっていくのは気持ちいい。…けど、やっぱり甘ったるい。アイツも笹川も何でこんな甘いのとかケーキとか食えるんだろう。ケーキなんて砂糖の塊とかわらねぇじゃん。
 魔法瓶の中は3杯分くらい入ってた。とりあえず一杯分だけ貰う。つか一気に全部飲み干せって言われても無理だし。甘ったるいのはキツイけど体は確かにあたたまるから、しんどくなった時に飲んだらちょっとは回復できそうだ。

(さっさと戻らねぇと…。十代目に心配かけちまう)

 ああ、違うか。もうとっくに掛けちまってるか。…バカみてぇ。
 わざわざハルがオレの部屋に来て薬飲ませて膝掛けを掛けてカフェオレまで用意して帰るなんて、十代目がハルに頼んだからに決まってる。
 十代目が直接オレに休むように言ってもオレは絶対大丈夫だって言うから、…オレが断りにくい奴にわざわざ声を掛けたに決まってるじゃないか。

(…めんどくせぇ。こんなもん、来なくなればいい)

 どうせ子供なんざ産む予定もつもりも更々ないんだ、いっそ子宮ごと取っ払ったらったら楽なのに。…けど、もし本当に子宮摘出したら、十代目が怒る。絶対に怒る。
 オレにとっては十代目のお傍に付いて十代目の為に働くのが何より1番の優先順位なのに、十代目はオレがオレの体を適当にしたら怒る。もっと自分のことを大切にしろって。
 オレのことを思って怒ってくださってるからムゲにはできないけど、その優しさに惚れたのは間違いないけど、でも時々、面倒に思う。

(だってオレは「女」なんていらない)

 女は力が弱い。体力もない。生理なんて面倒なのも来るし、こと「女」の要素でオレに必要なものなんて一つもない。
 …こういう時だ。ハルや笹川を羨ましく思うのは。
 オレには「女」なんて邪魔でしかないのに、あいつらは「女」なところで十代目のお役に立ってる。
 マフィアのことは聞かされてないけど、聞かされてないなりに十代目のことを察して、十代目が安心して帰ってこれる場所を作って、守ってる。十代目のお母さまと同じように。

(ああ、それじゃあムリだな)

 オレには「女」な所で十代目のお役に立つなんて絶対にムリだな。帰りを待つよりも一緒に飛び込んでいくしかできないオレには。


 「女」なんてオレには何の意味もないんだから、だからさっさと生理なんざ終わっちまえ。
 自棄っぱちに自分の体を呪っても早く終わったりするはずもなくて、結局いつも通り5日間で終わった。


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 年齢は…精々高校生って頃かな。
 ここまで自分の性別を嫌ってるとなるとね。20歳近くになるとそれなりに自分の中で折り合いをつけるようになっていきますから。

 前に書いた「デンジャラスビューティー」とは特に繋がりはありません。
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  1/3の純情な感情・5(リボーン/ツナと獄寺)
2009/02/20 ◆ リボーン
 何もかも暴力で支配していた時代なんてとっくに終わっているし、マフィアって言っても今は「多少荒っぽいこともする多角経営の企業」みたいなものだ。でもって、パソコンが普及して紙の需要が減ったって言っても、結局重要な契約書や決裁書には直筆のサインが必要なのは変わらない。
 そういうわけで、ボンゴレの次期十代目ことオレの机の上には、結構な数の書類が積み上げられていた。

「十代目、どうぞ」
「ん、ありがと」

 あまり根をつめすぎても効率が悪くなりますから、って言われて休憩を取ることにした。差し出されたのはわざわざ日本から取り寄せたらしい緑茶だ。それは母さんが食事の時に出してくれるのと同じ味で、同じ味を出せるようになるまで練習したんだろうなって、すごく嬉しく思う。

「今のうちに片付けておきますね。こっちが決済済みの書類ですよね?」
「うん、そう。右半分とちょっとってとこかな…先は長いなぁ…」
「ファイトっす、十代目!」

 大半がサインを入れるだけまで整えもらってるって言っても、それでも内容を見ないでサインばっかりするわけにもいかない。結局全部にちゃんと目を通さないといけないわけで、今日は朝からこの作業ばっかりしてるから、オレの集中力なんてはとっくに切れていた。面倒な書類仕事に加えて、面倒で余計な話を持ち込まれたばっかりだったりするから、机に突っ伏したまま寝てしまおうか、とまで思ってしまう。

「あれ、十代目。こちらの束は?」
「あ」

 決済済みの書類を回収してくれてた獄寺くんが「それ」に気付いた。卒業アルバムみたいに分厚い表紙と対照的な薄い中身。わざわざ日本風の形式に誂えている辺りがオレへの嫌がらせにしか思えない。ああ、こんな風習さっさと廃れてしまえばいいのに。

「置いといてくれていいから。…どうせ捨てるし」
「そうですか? でもこれ、何の書類なんでしょう? 十代目にお目通りが必要な物は全部オレを通すようにしてるはずなんですけど…」
「そんな大袈裟なものじゃないよ。リボーンが持ってきたものだし」
「リボーンさんが!?」

 あ、しまった。逆効果だ。
 獄寺くんがリボーンに全幅の信頼を寄せてるのを忘れてた。リボーンさんがお持ちしたのなら大変な書類なんじゃないですかって考えてるのが丸分かり。だから変なこと言われる前に、素直に白状することにした。

「だからオレにはいらない物なんだって。…見合い写真だから、それ」
「…はい?」

 オレの好きな人がオレの見合い写真を抱えてる図って、一体何の嫌がらせなんだろう。
 そんなことをぼんやり考えてたから、オレはこの時、獄寺くんの微妙な動揺に気付けないでいた。


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 2から直接話が繋がってます。
 更に言うなら6に続く予定。…は未定…。
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  銀月ふたつ・2(犬夜叉、殺生丸と母)
2009/02/19 ◆ その他・漫画
 幼少の頃から養育どころか一年に何度も会わなかった。殺生丸が元服を迎えた頃からは10年に一度も会わなくなった。冥道へ赴く目的で宮を訪れた一件以来、顔を合わしたことも会いたいと思ったこともない。
 殺生丸にとって母とは「自分を産んだ女」という認識しかなかった。そして母もまた殺生丸を「自分が産んだ子」という認識しか持っていないことも分かっていた。母子としての愛情などお互いの間には全く存在せず、故に殺生丸は母が何故この屋敷に下りて来たのか分からなかった。その、用件を告げるまで。

「あの娘を娶ったそうだな?」

 不快を通り越して剣呑ささえ纏う。並みの妖怪程度なら一睨みで肝を潰されてしまいかねない強烈な邪眼。だがさすがは実母と言うべきか、ふん、と鼻で笑って流してみせる。かつて西国を統治した大妖怪の正室であり、そして今西国を統治する大妖怪の母である彼女もまた、並々ならぬ胆力と妖力の持ち主であった。

「何だその目は。まさか私がお前に説教をする為に来たのだとでも思ったのか?」
「では何の用だ」
「ふん、この馬鹿息子めが」

 目的は違うのかもしれないが、この母が重臣などから陳述されているのは間違いなかった。
 先代に続いて殺生丸までもが人間の娘を娶る――、それは重臣にとってとても許せるものではない。まして先に正室との間に跡継の殺生丸を儲けていた先代と違い、殺生丸はただの一人も室すら迎えていない。その状況で人間の娘を妻とするとは。
 殺生丸は母が重臣に請われて提言に来たのかと思った、しかし母はそれを鼻で笑う。では一体何の用だと言うのか。殺生丸に母が自分に会いに来る用など思いつかない。

「あの娘は…今はおらぬか。まあいい。いずれ会うこともあろう。或いは会わないまま死ぬか」
「…」

 妖怪の寿命は長く、人の一生は短い。妖怪にとって10年とは「たった」と称される時間だが、人間には「そんなにも」と称される年月だ。それだけの隔たりを持つ生き物同士。共に過ごせる時間は人間にとっては一生でも妖怪にとってはごく僅かな時間――。

「まったく、変なところが父親に似たものだな、お前は。人間を娶るなど――一昔前のお前ならば、考えることすらなかっただろうに」

 たった一瞬、ふ、と声が和らいだ。それは何かを懐かしむようでもあり、僅かに母としての慕情を感じさせる色すら内包していた。
 だがそのような表情を見せたのも一瞬、すぐに皮肉げなものと戻る。ではな、と呟くのと同時、優雅に裾を翻し、殺生丸に背を向けていた。

「お前が誰を娶ろうが私の知ったことではないよ。お前の好きに生きるがいい」
「…無論だ。言われるまでもない」
「ふん、全く可愛げのない」

 ああそうだ、と、本当に思い出した、と言う風で、母は息子に振り向いた。

「何の用か、と聞いたな? 知己を訪ねるのに近くを寄ったからの」

 ふと気が向いただけだ、と言う。その言葉は本心からに違いない。そして、「好きに生きろ」と告げた思いも。
 幼少の頃ならともかく、今更「母」を察したとて、今までの関係も感情も変えようがない。そして母も変えることを望んでいるわけではないと、そこまで気付いてしまっている。
 故に殺生丸はただ一言。

「二度と来るな」
「は、生意気を言う」

 ざ、と土を踏む音と共に、銀月が1つ空を駆けた。
 ――或いはかの娘に会いに来たのかもしれなかった。それでも、地に残った銀月はその軌跡を見送ることすらしなかった。


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 やっと最終巻読みました。
 男が女に着物贈るってそーゆー意味か、それとも虫除けを狙ってか。
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